満員電車?空いてる方? 認識のギャップを「混雑率」から解き明かす

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   たびたび話題となる東京圏の満員電車。先日も、ツイッターに投稿された都内の山手線の写真をめぐり、「ヤバい」くらい混んでいるのか、「空いてる方」なのかで様々な見解が飛び交って注目を集めた。東京圏で通勤・通学時間帯の満員電車を経験しているかどうかで見方が大きく違ったようだ。

   東京圏の電車混雑率については、ニュースや報道記事で比較的よく目にするが、他の都市圏ではどういう状態なのだろうか。

  • その電車、混んでる?空いてる?
    その電車、混んでる?空いてる?
  • その電車、混んでる?空いてる?

これでも東京圏はだいぶ「マシ」になった

   2019年9月下旬、ツイッター上で投稿された山手線写真と「込み具合はヤバい」というコメントが注目を集め、「いやガラガラだ」「空いてる方だ」との反論も集まり話題となった。写真は駅のホームに停車している車両を写しており、中にはかなりの数の人が立っているが、寿司詰め状態という程ではなく、写真手前の入り口付近には、まだまだ人が乗り込む余裕がある。J-CASTニュースの姉妹サイト、Jタウンネットが9月30日に取り上げ、投稿者に話を聞いたところ、札幌在住者で東京へ出張に来た際に撮影したものだそうだ。

   実際、電車でどの程度の混雑率なら「ヤバい」と感じるかは、居住エリアによって違いがありそうだ。

   混雑率(最も混雑する時間帯1時間の平均)については、国土交通省が示している「目安」がある。「100%」は「定員乗車(座席につくか、吊革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる)」、「150% 広げて楽に新聞を読める」、「180% 折りたたむなど無理をすれば新聞を読める」、「200% 体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」、「250% 電車がゆれるたびに体が斜めになって身動きできず、手も動かせない」となっている。

   2018年度の混雑率は国交省が19年7月18日に発表している。東京、大阪、名古屋の各圏主要区間の平均混雑率をみると、東京圏163%で対前年度比横ばい、大阪圏126%、名古屋圏132%で、それぞれ同1ポイント上昇だった。東京圏では目標値が示されており(2016年4月の交通政策審議会の答申など)、平均混雑率で150%。現状ではまだ10ポイント以上、上回っている。

   もっとも、1975年には221%もあり、93年でも197%と200%近かった。以降は概ね減少傾向で、2013年以降をみると160%台半ばで横這い・微減が続いている。

札幌では135%の路線も

   他のエリアではどうか。圏内平均値ではなく個別路線(区間)の数字になるため、比較対象として東京圏の個別路線の数字を確認しておくと、目標値(180%以下)を上回る路線が11路線あり、上位(ワースト)3路線は、東京メトロ東西線(木場→門前仲町)199%、JR横須賀線(武蔵小杉→西大井)197%、JR総武線緩行線(=各駅停車、錦糸町→両国)196%。

   先の話題ツイートに関連する北海道エリア(2018年度)をみると、札幌市営の地下鉄東西線(菊水→バスセンター前)135%、JR函館本線(琴似→桑園)127%などが高かった。また、福岡エリアでは、福岡市地下鉄の空港・箱崎線(大濠公園→赤坂)142%、同七隈線(桜坂→薬院大通)121%が目立った。

   両エリアの過去の数字も確認すると、たとえば30年近く前の1991年度では、札幌の東西線(同)は190%、福岡の空港・箱崎線(同)は159%で、いずれも2018年度より10ポイント以上、高かった。

   鉄道各社は従来、混雑緩和に向け、運行本数や編成車両数を増やすなどの対応を行ってきた。東京都では2017年度から「時差Biz(ビズ)」キャンペーンを行っており、企業がフレックス勤務を採用・試行することで通勤時間が分散することなどを目指して協力を求めている。また、国交省は18年度から、先にも触れた「混雑のピーク時間帯」だけでなく、その前後1時間の「ピークサイド」の混雑率も公表しており、ピーク時を避ける行動を企業や個人に促している。

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