「ラグビーW杯2019日本大会」は2019年9月30日、日本と同組(プールA)で今後、対戦する「スコットランド―サモア」の一戦が行われた。湿度が高い中、滑るボールに両チームともハンドリングエラーが目立った。
だが、結果は「34―0」。スコットランドが、サモアを完封した。
敗戦でも「勝ち点」入り得るシステム
まず、ラグビーW杯の「勝ち点」の付け方(予選プール)を再確認しよう。
・勝ち=勝ち点4
・引き分け=勝ち点2
・負け=勝ち点0
・勝敗にかかわらず「4トライ以上挙げた場合」、「7点差以内の敗戦」には、それぞれボーナス(BP)=プラス1点
つまり試合に勝ち、かつ4トライ以上を挙げた場合は「勝ち点5」。逆に敗戦でも4トライ以上を挙げ、かつ7点差以内であれば「勝ち点2」が入る。引き分けでも4トライ以上ならば両チームに「勝ち点3」が加算される...という少々複雑な仕組みだ。
続いて、日本の所属するプールAの順位と「勝ち点」を、おさらいしたい(2019年10月1日時点)。
(1) 日本(世界ランク8位)=2勝0敗 「勝ち点9」
(2) アイルランド(同4位)=1勝1敗 「勝ち点6」
(3) スコットランド(同9位)=1勝1敗 「勝ち点5」
(4) サモア(同15位)=1勝1敗 「勝ち点5」
(5) ロシア(同20位)=0勝2敗 「勝ち点0」
元代表が「最後にスコットランド」を懸念する理由
予選プールは、上位2チームが決勝トーナメントに進出できる。今のところ、日本とアイルランドが優位だ。仮に日本がサモア、スコットランドに連勝を果たした場合、
・4トライ以上の勝利 「9」+「5」+「5」=「19」
・4トライ以下の勝利 「9」+「4」+「4」=「17」
続いて現在、プール2位のアイルランド(残り2戦はロシア、サモア)も同様に連勝すると考えると、
・4トライ以上の勝利 「6」+「5」+「5」=「16」
・4トライ以下の勝利 「6」+「4」+「4」=「14」
つまり2戦とも4トライ以上のBPを狙わずとも、「確実に勝つ」ことに徹すれば、アイルランドより上位の1位で、念願の「ベスト8」へ進出となる。
ここで気になるのが「勝ち点5」で並ぶスコットランドとサモアだが、サモアはまだ格上のアイルランド戦を残しているため、現実的には厳しい。対してスコットランドは格下のロシア、そして最終戦で日本と相まみえる。
J-CASTニュースでは今年5月、元日本代表の今泉清氏(FB=フルバック)、永友洋司氏(SH=スクラムハーフ)、坂田正彰氏(HO=フッカー)による座談会を行ったが、お三方とも、
「最後にスコットランドっていうのが一番、面倒くさいよね」
と口をそろえていた。どういうことか?
スコットランドは最終「日本戦」に命を懸けてくる
慢心...ということでは決してないが、昨日のスコットランド―サモア戦を見る限り、今の日本はサモアには負けないだろう。一方のスコットランドは、次戦でロシアと戦う。これも、よっぽどの大波乱がない限り、軍配はスコットランドに上がるだろう。
ということは、最終戦となる日本―スコットランドが重要だ。同試合前の「勝ち点」を、日本から見た最小差で考えた場合、
・日本 「9」+「4」(サモアに4トライ以上を取れずに勝ったと想定)=「13」
・スコットランド 「5」+「5」(ロシアに4トライ以上で勝ったと想定)=「10」
つまり日本がもし、最終スコットランド戦で負けてしまうと(両チームともBPなし)
・日本 「13」のまま
・スコットランド 「10」+「4」=「14」
となり、逆転されてしまう。だからこそ、スコットランド側も日本戦には命を懸けてでも臨んでくるだろうし、上記のシミュレーションのようにアイルランドが残り2戦を制していた場合、勝ち点は14~16なので、この場合日本は3位となってしまう。
もちろん記者も残り2連勝を信じているし、こんなことは書きたくもない。ただ、可能性としては「ゼロ」ではない...ということだ。
アイルランド戦後の取材の際、元日本代表SHでトップリーグ(TL)の現キヤノン・イーグルスGMの永友氏は、こう話していた。
「残り2戦、BPっていう報道もあるけど、まずは2戦とも『必ず勝ち切る』こと。PG(ペナルティーゴール)でもいいから、確実に狙えるところは狙っていって、とにかく勝ち切ること」
とはいえ、今のところ日本が優位であることには変わりない。ファンの皆さん、代表を「信じて」応援しよう!