消費税率が2019年10月1日に10%に引き上げられるなか、軽減税率の恩恵を受けて8%に据え置かれたのが新聞業界だ。ただ、その適用対象は「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」で、駅やコンビニでの1部売りや、電子版は対象外だ。
この適用対象外の扱いをめぐり、朝日は据え置く一方で、毎日や産経は増税分を転嫁するなど、各社の対応が割れている。
1部売りの値上げ幅は増税分を上回る
全国紙は全紙が月決めと夕刊1部売りの購読料を据え置く。夕刊1部売りについては増税分を新聞社側で吸収した形だが、朝刊1部売りは毎日新聞が税込み140円から150円に、産経新聞が110円から120円に、それぞれ値上げした。値上げ幅はそれぞれ7.1%、9.1%で、増税幅を上回る。両社は19年9月の社告で、軽減税率適用除外以外の経緯を
「朝刊1部売り定価につきましては2014年1月以来、5年9カ月にわたり据え置いてきました。この間、原料費の高騰などにより製作、流通経費が増えてきております」(毎日)
「輸送費など経費の上昇もあり、改定させていただくことになりました」(産経)
と説明している。
日本ABC協会がまとめた平均販売部数によると、朝刊発行部数に占める「即売」の割合は毎日が1%未満、産経は4%を下回る程度だ。
電子版でも対応に差が
10月1日の紙面に社告を掲載したのは朝日、毎日、産経の3紙。朝日は1部売り、電子版を含めで購読料を据え置くことを説明。毎日は朝刊の1部売りの値上げに触れたものの、産経は「1日からの消費税引き上げ後も、産経新聞の税込み月決め購読料は変わりません」とのみ説明した。
電子版についても対応が分かれた。朝日は10月以降も、紙媒体とセットで購読すれば税込月額500円、電子版のみ(有料記事を無制限に読める「デジタルコース」の場合)で3800円に据え置いた。日経は、紙媒体とセットで読む場合は月額1000円のままだが、電子版単独価格は増税分がそのまま転嫁され、4277円になった。
毎日、産経は元々購読料を「税別」で表記しており、増税分をそのまま転嫁する。毎日は、紙媒体とセットの場合は、「無料プラン」は引き続き追加料金なしで利用でき、サンデー毎日なども読める「プレミアムプラン」は「税別」500円。電子版単独で購読する場合、新聞記事が読める「スタンダード」プランで「税別」980円、サンデー毎日なども読める「プレミアム」プランで「税別」3200円だ。産経は紙媒体とのセットプランはなく、電子版単独プランが「税別」1800円だ。
読売は、紙媒体の購読者は追加料金なしで電子版を読める仕組みで、増税後も影響はない。
新聞への軽減税率適用をめぐっては、日本新聞協会が10月1日付で
「私たちは報道・言論により民主主義を支え、国民に知識・教養を広く伝える公共財としての新聞の役割が認められたと受け止めています。この期待に応えられるよう、責務を果たしていきます」
などとする「見解」を出している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)