リーグ4連覇を目指した広島のBクラスが確定した。2019年9月30日、阪神が中日を3-0で下し、6連勝で3位に滑り込んだ。阪神-中日戦の結果待ちとなっていた広島はこれで4位が確定し、2015年以来のBクラスでシーズンを終えた。緒方孝市監督(50)の去就は未定で、首脳陣の入れ替えを含め広島の今後に注目が集まる。
阪神が中日に負ければ広島のクライマックスシリーズ(CS)進出が決まる一戦は思わぬ形で動いた。4回、中日・先発の大野雄大投手(31)が、先頭の近本光司外野手(24)を打ち取ったところで降板した。大野は阪神打線をここまでパーフェクトに抑えていたが、近本をアウトにとった時点で最優秀防御率のタイトルが確定したことからベンチは交代を決断。甲子園の全体がざわめいた。
阪神-中日戦を巡りSNS上ではお祭り騒ぎに
大野の後を継いだ2番手・三ツ間卓也投手(27)が交代直後、ヒットと四球で1死1、2塁のピンチを招き大山悠輔内野手(24)にタイムリーを浴び先制を許す。なおもピンチは続き、2死満塁の場面で三ツ間の暴投でさらに1点献上。5回には中日3番手・山本拓実投手(19)による暴投で1失点。大野がパーフェクト投球を見せたものの、中継ぎの2つの暴投で中日は自滅する形となった。
阪神、中日、広島3球団のファンが熱視線を送った一戦が動きを見せると、ネット上がにわかにざわめき始めた。タイトル獲得を決めた大野とCS進出を大きく引き寄せた阪神に対してネット上では「竜虎同盟」のフレーズが浮上。Yahoo!リアルタイム検索など、ツイッターの人気キーワードの上位にランクインし、この一戦を巡り、ネット上では各球団のファンによるお祭り騒ぎとなった。
試合の結果は阪神の投手陣が3点を守り切り中日を完封し、2年ぶりのCS進出を決めた。この結果に対して鯉党の反応は冷静なものが多く見られ、大野のタイトル獲得と阪神のCS進出を祝福する声も多数あった。「竜虎同盟」のフレーズがSNS上で独り歩きした感もあり、鯉党の批判はむしろフロントや首脳陣といった球団内部に向けられたものが多く見らえた。
新生カープへの「良いきっかけ」に
ネット上では、「広島がCS進出を決めても手放しで喜べない」との鯉党の意見も。その理由のひとつとして、サビエル・バティスタ外野手(27)のドーピング問題がある。この問題に関しては禁止薬物の摂取経緯や理由など詳細が明らかになっていないところが多く、球団に対して不信感を募らせる鯉党も。さらに現段階でバティスタの去就についても球団の意向が不透明で、これも不信感につながっている。
もうひとつが首脳陣への不満だ。シーズン中はたびたび緒方監督の采配が鯉党の批判の的となった。実際、9月27日の中日とのレギュラーシーズン最終戦で勝利すれば自力でCS進出を決めることが出来た。エースのクリス・ジョンソン投手(34)を擁して臨んだ一戦も、打線の援護がなく1-4で敗戦。CS進出を逃したのは指揮官の采配及びコーチ陣にその要因があったとする見方もある。
ネット上では、広島の現体制の一新を望む声は依然として多くみられ、CS進出を逃したことが「良いきっかけ」になったとの意見も。広島は今オフ、会沢翼捕手(31)、野村祐輔投手(30)ら主力がフリーエージェント(FA)による流出の可能性があり、この危機感からも「新生カープ」を望む声は強い。監督就任5年目にして2度目のBクラスが確定。鯉党の声はフロントに届くのか。指揮官の去就に注目される。