最初に使い始めたのは「悪人」だった?
この数字をコミュニケーション手段として使い始めたのは、誰だったのだろうか? 当時の新聞を見ると、思わぬ層が浮かび上がる。
「密売人、メッセージ式ポケベルで直接注文さばく 福岡」(朝日新聞90年3月3日付朝刊)
この記事によると、福岡の麻薬密売人の間では80年代末からいち早く数字が送信できるポケベルが普及、「暗号」化した数字を送り合うことで、客との取り引きを効率化していたという。
別の記事(読売91年7月17日付朝刊)でも、大阪の暴走族グループがポケベルを持ち合い、「数字による暗号を作って、警察の取り締まりや集合場所などの連絡を取り合っていた」との話題がある。確かに、ポケベル語は簡単な暗号そのものだ。真っ先に飛びついたのが密売人や暴走族など、後ろ暗いところのある人たちだったというのは自然である。直接の影響はとにかく、ポケベル語の「前史」ともいえる。