人付き合いに対する「煩わしさ」が背景に?
敬語は主に改まった相手・シーンで使うものだが、それがくだけた「タメ口」よりも楽だと思うのは、いったいどんな理由があるのか。コミュニケーション研修事業を手がける「話し方研究所」(本社・東京都中央区)の福田賢司代表(47)は27日、J-CASTニュースの取材に、「嫌われたくない、変だと思われたくない気持ちが強いのはないでしょうか」とし、次のように見解を示す。
「『丁寧である』という他者評価を手に入れるだけで十分で、それ以上仲良くなりたいとも思っていないし、早く帰りたい、という気持ちなのかもしれません。
対人関係において、敬語は相手を敬う表現ですから、初対面の時、ビジネスの場面では当然大切なことだと思います。今回のケースでは、飲み会や接待の場を苦痛だと思っているようなところがあるので、最低限敬語ができていればいいだろう、それ以上踏み込まないでほしいという、コミュ障というよりは人付き合いが嫌いで煩わしいのだと思います」
こうした心理はコミュニケーションを苦手に感じている人のほうが抱きやすいのか。福田氏は「敬語が無難とハッキリ認識している人と、とりあえず敬語でかわしている人、いろいろだと思います。人と関係を深める、仲良くなるのが苦手、という人は、とりあえず敬語を使えばいい、と思っている人も多いでしょう」とするが、一方で
「正しい敬語をしっかり使っているかというと、過剰な敬語を使っていたりして、聞いている側が違和感を持つことも少なくないのです。『~させていただく』の使い過ぎなどもそうです」
と、「とりあえず敬語」には落とし穴があることも指摘した。