「得」なはずの年金繰り下げ受給を、高齢者の「1%」しか選ばないのは何故か

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「もらえるものは早めにもらった方が安心だ」

   一方、繰り下げ受給には注意点もある。夫が繰り下げ受給をした場合、一定の条件を満たす妻がいれば支給される「加給年金」がもらえなくなる。加給年金は最大で年間約39万円なので、これが惜しくて繰り下げを利用しないケースもある。ただ、サラリーマンだった夫の場合、基礎年金と厚生年金のうち、どちらか一方だけ繰り下げないこともでき、一方の支給を受けていれば加給年金も手にできる。このように年金制度が複雑であることも、繰り下げ受給が進まない背景にありそうだ。

   そもそも繰り下げ受給には、国家財政が厳しい中、年金の支給を少しでも先送りしたいという政府の狙いがある。9月20日に初会合を開いた政府の「全世代型社会保障検討会議」(議長・安倍首相)でも、「70歳まで働ける制度や環境整備を併せ、年金の受給開始年齢の選択肢を70歳超に拡大することも検討することを打ち出している。

   繰り下げ受給をしない人の中には、年金制度への不信感が強く、「もらえるものは早めにもらった方が安心だ」と考える人もいるという。政府の政策に踊らされず、自分自身がどう老後を過ごしたいのかをしっかり見極めることが重要になりそうだ。

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