「民間のスポンサーの判断ならいいでしょうが...」
一方、ニュースサイトのコメント欄などでは、文化庁の決定を支持する声も多い。「市民の税金を使って催すような展示ではない」「表現の自由も無制限ではないですよね?」「文化庁の今回の措置を支持します」などと書き込まれている。
萩生田光一文科相は9月26日、報道陣に対し、憶測が出ている官邸からの指示は否定した。「申請のあった内容通りの展示会が実現できていない」と補助金不交付の理由を説明し、検閲に当たるかについては、「中身については、文化庁はまったく関与していない」と述べた。
補助金不交付が裁判になった場合について、深澤諭史弁護士は、その見通しをJ-CASTニュースの取材に次のように話した。
「訴訟になれば、文化庁の方が負ける公算も高いのではないかと思っています。批判されたから補助金を出さないと見られてしまい、苦しい理由だと思うからです。民間のスポンサーの判断ならいいでしょうが、行政は、他の展示会への処分と公平でないといけないでしょう。今回の決定を認めると、脅迫をすればよいことになり、主催者への不利益が生まれてしまいます」
文化庁側は、展示会の中身は関係ないとしているが、深澤弁護士はこう言う。
「表現の自由をうたった憲法第21条は、争点になると思います。今回が認められれば、お金をもらえるような表現を国が選べることになり、表現の自由を侵害することにもつながるからです」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)