文化庁は2019年9月26日、愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に補助金を交付しないと発表した。文化庁の決定を受け同日夜、署名サイトChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)では、補助金交付中止の撤回を求める署名活動が始まった。
署名を募っているのは、あいちトリエンナーレの参加アーティストが、同芸術祭で閉鎖されている全ての展示作品の再開を目指そうと始めたプロジェクト「ReFreedom_AICHI」。27日10時半過ぎ時点で、3万4453人が賛同している。
あいトリ関係者らも署名活動に反応
署名サイトで同プロジェクトは、「いったん採択された補助金を、違法性などが検証されない状態で国が取り下げるということは、 異例中の異例です。文化庁はこれを『内容に関するものではない』とコメントしていますが、多くの国民がこれを国家による検閲だと解釈しています」と訴えている。
文化庁が示している不交付理由の「1)審査段階で具体的な計画がなかったこと、2)電凸(編注:電話などによる攻撃)や脅迫が続いた時点で報告がなかったこと、3)展覧会中止によって事業の継続が見込まれにくなったこと(編注:原文ママ)」を挙げた上で、「そもそもいったん適正な審査を経て採択された事業に対し、事業実施中に交付を取り消すことは、国が該当事業のみを恣意的に調査したことを意味します」と指摘した。
また、「展示中止を迫った中には市長などの公人も含み、そして過熱したのはテロ予告や恐喝を含む電凸などです。作品の取り下げを公人が迫り、それによって公金のあり方が左右されるなど、この一連の流れは、明白な検閲として非難されるべきものです」とした上で、「脅迫を含む電凸をすれば一部の展示が中止され、文化庁が動き助成金を取りやめるなどということが前例化してしまえば、日本はテロと戦う気がないと全世界に発信するばかりか、文化庁が脅迫に手を貸すというメッセージにもなりかねません」と主張する。今回の文化庁の決定を、「文化的最低限度の生活を全国民に保障する、憲法と民主主義への脅威にもなりかねません」と強く非難する。
ツイッター上では、あいちトリエンナーレ関係者らも署名活動に反応した。
芸術監督の津田大介氏も同日23時ごろ、ツイッターで、「「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金交付中止の撤回を求めるchangeのネット署名が始まりました。今回の措置に疑問をお持ちの皆様方はご署名いただければ幸いです」と呼び掛けていた。
芸術監督の相談役的なポジションに当たる「企画アドバイザー」を辞任した東浩紀氏は26日22時45分ごろ、ツイッターで「さすがにこれは賛同した」と表明した。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)