大手スーパーの西友が、消費増税による買い控えなどの対策として、2019年10月から12月まで、3%割引サービスを行う。
対象となるのは、クレディセゾンが発行する「セゾンカード」。酒類など一部対象外はあるが、多くの商品が割引対象となる。
終了後も「正式サービス」になる可能性あり
割引はレジでの決済時ではなく、請求時に行われる(一部例外あり)。西友では以前から、セゾンと提携する「ウォルマートカード セゾン」で、毎日3%割引を行っていた。今回のキャンペーンでは、これが全てのセゾンカードに拡大される。
西友はセゾン会員を対象に、5%割引デーを月数回設けているが、これも継続される。また、発表文には「予告のうえ、キャンペーン終了後以降、正式なサービスとして導入する場合がございます」とあり、20年1月以降も継続する可能性が示されている。
西友とクレディセゾンは、もともと兄弟の関係にあった。いずれも西武鉄道系列の「西武流通グループ」(→セゾングループ)に属していたが、バブル崩壊のあおりなどを受けて、西友は02年にウォルマート(米スーパー大手)傘下となり、クレディセゾンは04年にみずほフィナンシャルグループ(FG)と提携を結んだ(19年10月に解消予定)。とはいえ同じグループではなくなったものの、両者の関係は続き、以前からの5%割引デーを継続するほか、10年からはウォルマートカードを発行。事実上の「公式カード」として扱われている。
PayPayとのおトクな使い分け
では、今回の「3%割引」で、どんな影響が出てきそうか。まずは一時的であっても、ウォルマートカードの優位性がなくなることだ。かつて公共料金が1%オフになっていたこともあるが、現状では他のセゾンカードと比べたときの長所は「西友で毎日3%引き」のみ。12月以降もキャンペーンが継続した場合には、新たなメリットを用意する必要に迫られそうだ。ウォルマートカードは現状、国際ブランドがアメリカン・エキスプレス(アメックス)に限られ、他のお店でも「普段使い」したい消費者は、VISAやマスター、JCBブランドからも選べる他のセゾンカードに移行しかねない。
QRコードとの「共存」も気になる。西友は9月、PayPayを導入した。こちらの最大3%還元は今月までだが、10月以降も最大1.5%還元が継続される。セゾンのキャンペーンと比べれば見劣りするが、3%還元対象外であるアルコール類を買う場合には、PayPayの方が有利になりそうだ。
増税まで1週間を切った時点で、イオンやイトーヨーカドーなどは、まだ西友への対抗キャンペーンを打ち出していない。しかし、どちらも自社グループ内に「イオンカード」と「セブンカード」を擁していて、いざとなれば動ける体制を持っている。これらライバルが追随するかも注目だ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)