ドラクエウォーク目的の「無銭入山」しないで 新潟・謙信ゆかりの寺が注意喚起、スクエニ「普及啓発を継続」

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   スマートフォンアプリゲーム「ドラゴンクエストウォーク」のアイテム目当てに、拝観料を払わず無断で敷地内に入る人がいるとして、林泉寺(新潟県上越市)が「無料での入山は、許可しておりません」とする注意喚起文を受け付けに掲示していることが分かった。

   林泉寺は2019年9月25日のJ-CASTニュースの取材に、同ゲームのアイテムが入手できる地点に設定されていることは知らなかったとし、当初困惑したことを明かす。運営するスクウェア・エニックス(本社・東京都新宿区)は「ゲームの楽しみ方を伝えるための普及啓発を継続して行って参ります」としている。

  • 「ドラゴンクエストウォーク」公式サイトより
    「ドラゴンクエストウォーク」公式サイトより
  • 「ドラゴンクエストウォーク」公式サイトより

DQWプレーヤーを穏やかに諭す文章が

   「ドラゴンクエストウォーク」(以下、DQW)は位置情報を利用したロールプレイングゲームで、12日に配信開始した。現実世界の一部名所がゲーム中の「ランドマーク」として設定されており、実際にそこを訪れると限定の「お土産(アイテム)」を入手できる。ランドマークは47都道府県すべてに4地点ずつあり、お土産のコンプリートが大きな「やり込み」要素となっている。

   ランドマークの一つが林泉寺の山門だが、拝観料(大人500円)を払わないと入れない場所が設定されている。お寺では混乱が生じているとして、受け付けには参拝客向けに2枚の注意書きが掲示。それぞれ次のように書かれている。

「『ドラゴンクエストウォーク』に関しての告知
新潟県内指定の四か所の一つとして『林泉寺山門』が設定されているようですが、この件に関してゲーム関連会社からの申請は受けておりません。故に、無料での入山は、許可しておりません。アイテム入手目的のみの、無断入山及び返金等のお申し出には応じません。当山の環境は、拝観志納料で守られております。ご理解とご協力をお願いします」
「クエストとは、『物語などの冒険の旅』『探索する』『探求する』という意味を持つ言葉だそうです。今、ここにいるあなたが、見る 聞く 感じることができるのは<生きている>からです。山内にいる間は、しばしデジタル機器から離れて、冒険者になりきって感覚を研ぎ澄ませてみませんか? そのことに意味などないのかもしれません。しかし、気付かなければ、気付けないこともあると思うのです。<今、ここにいること>を必然と感じて頂けるかたなら より良く生きていく知恵が見つかるかもしれません。実りある良い旅になりますように...」

   こうした張り紙はツイッターユーザーが撮影して投稿したことで拡散され、「ルールを守り楽しみましょう」「敷地内に沢山来たら迷惑だなと思うと、本当厄介だし注意書き出すのも嫌だったでしょうね」など、寺への同情の声が寄せられている。

「ええ!?とびっくり仰天しました」

   J-CASTニュースの25日の取材に応じた林泉寺の担当者によると、これらの掲示を出したのは16日ごろ。DQWのランドマークに設定されていることはもともと知らなかったが、ゲーム配信直後に訪れた観光客から「ここはDQWの重要地点のひとつなので、これからたぶん(大勢の人が来て)大変になりますよ」という話を聞いた。「ええ!?とびっくり仰天しました」という。

   14~16日は3連休で客も多くなった。寺の拝観受け付けは広めにスペースをとってあり、拝観料(大人500円)を支払わずに無断で通り抜ける人もいた。そのため、今回の2つの掲示を出すことを決めた。

   林泉寺は越後の戦国大名・上杉謙信が入門していた寺で、出生地であり墓所もある背後の春日山城(現在は城跡)とあわせ、謙信ゆかりの地として有名。春日山の山林がある関係で自然豊かな地となっている。担当者は「いろいろな動物・植物がおり、その環境を守っていただくという意味もこの拝観料にあります。その点でお寺や自然を皆様に助けていただいている側面もあります」と話す。

   2枚目の掲示は単純な注意というよりも、諭すように訪問客に呼びかけている。林泉寺と春日山が大切にしている自然との関わりが反映されている。

「自然に見えるもの、聞こえるもの、その土地でないと分からないものというのがあります。自然が語りかけてくれているものを受け止められるのは生きているからで、それを感じることでより良い人生につながっていくと思っています。ご訪問いただけるなら何かの気づきを感じてほしいですし、小さい画面を見るだけならここに来なくても...と思ってしまうこともあります」

掲示のおかげで混乱は落ち着く

   注意書きは一定の効果があったようだ。「最初の2~3日は混乱がありましたが、今ではこちらの気持ちを受け止めていただけたのか、お寺のほうも穏やかになりました。拝観料のこともご了承いただけています。ご心配をおかけしているようで...」と無断入山者を見ることはなくなった。騒動が落ち着いてから、こう思うようになったという。

「ゲームの主人公もご自分(プレーヤー)も、物語・人生における同じ『主人公』であると考えれば、お寺に来てどちらの人生も豊かにするものを得ていただけるのでしたらありがたいことです。最近はそのように解釈しております。ゲームであってもこの世に生まれてきた『命』ですから、温かく育んでいただければ」

   DQWを運営するスクウェア・エニックスは取材に対し、ランドマークが有料の場所に設定されていることが一因でこうした混乱が生じていることについて、

「今後もゲームプレイによって起こるうる問題点を洗い出し改善を行っていくと同時に、ゲームを楽しんでいただくという本来の目的及び、ゲームの楽しみ方を伝えるための普及啓発を継続して行って参ります」

と回答した。

   林泉寺はランドマークになっていることをゲーム運営から知らされていなかった。ゲーム配信にあたってランドマークとなる施設側に連絡などをしていないのかについて、同社は「大変申し訳ございません、回答に関しては差し控えさせていただきます」とのことだった。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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