教育現場の人手不足が全国的な課題となる中、千葉市内の学校で「求人チラシ」が配布されたとして、SNS上で注目を集めている。
非正規教員として任用される小中学校の常勤講師を募集する内容で、「学校がパート先に!?」「ここまできたか。。」と驚きの声が相次いでいる。
業務は担任、少人数指導など
「千葉市講師登録のご案内~子どもたちの成長のために一緒に働きませんか~」と書かれた求人チラシ。募集主は千葉市教育委員会だ。
要項を見ると、教員免許の所有者を対象に、小中学校や特別支援学校の常勤または非常勤講師などを募っている。業務は「担任」「少人数指導」「学習補助」などで、年齢制限はない。
市内の公立学校に通う児童経由でチラシを受け取った保護者が2019年9月19日、ツイッターに投稿すると、広く拡散された。投稿者は取材に対し、「教員のブラックな現状も知っていたので、率直な感想と言われれば『もう来るとこまで来たな』という感じでした」と嘆息する。
文部科学省の学校基本調査によれば、公立小中学校の講師数は4万8289人(16年度)、4万8935人(17年度)、5万534人(18年度)と年々増加している。講師登録の募集は千葉市に限らず、全国の自治体で行われている。
一方で文科省が18年8月に公表した、11の地方自治体を対象とした聞き取り調査によると、教員不足の要因として最も多く「良く当てはまる」と回答があったのは、「講師登録名簿登載希望者数の減少」だった。
民間の派遣会社に相談もしたが...
千葉市教委教育職員課の担当者は25日、J-CASTニュースの取材に、「講師の登録が少ないということも含め、『教員免許を更新していないから無理かな』『60を過ぎているから無理なんだろうな』と思っている方がいたりするので、そうした方々の掘り起こしが狙いです」と配布の経緯を話す。
チラシはあくまで地域住民向けで、「保護者を通じて広がればと思い配布しました」
講師登録の募集は数十年前から行っていたが、近年では十分な数が集まらず、大学、公民館、ハローワークでのポスターを通じた案内など周知を強化している。民間の派遣会社に相談したこともあったが、「講師の希望者はいない」と言われたという。
「以前はホームページだけでも結構集まっていたのですが、今は若い先生方がどんどん採用されていることや、学校のイメージも一部でよくないということもあり、そういうことも影響しているのかなと個人的には思います」(担当者)
SNS上では、09年4月に導入された改正教育職員免許法が講師不足を招いたとの指摘がある。同法では、導入以降に取得した教員免許は10年の有効期間が定められ、更新するには30時間以上の有料講習を受講しなければならない。受けないと失効だ。千葉市教委の担当者は「ハードルとしては一つあるかもしれません」との見解を示す。
また、「教師を集めても働き方を変えなければ辞めてしまう」との意見には、「学校における働き方改革ということで、今年の1月にプランを策定して動いています」と述べた。
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)