巨人の阿部慎之助捕手(40)が2019年9月25日、都内で引退会見を行った。会見では、詰めかけた報道陣が背番号「10」、「ABE」のネーム入りユニフォームを着用するサプライズも。
会見の最後には、巨人の選手を代表して主将の坂本勇人内野手(30)、スコット・マシソン投手(35)、亀井善行外野手(37)、沢村拓一投手(31)らが花束を持って阿部を労う場面もあり、阿部の人柄を表すような引退会見となった。
24日の甲子園では虎党からも「慎之助コール」が
中大を経てドラフト1位で巨人に入団した阿部は、ルーキーイヤーの2001年に127試合に出場する活躍を見せた。その後は不動の正捕手としてチームを支え、2017年には2000本安打を達成し、今シーズン、捕手として史上3人目の400本塁打を記録した。首位打者、打点王、リーグMVPなど数々の個人タイトルを獲得し、球団史上最強の捕手といわれている。
グランドでの実績もさることながら、阿部が持つリーダーシップを評価する声は球団の内外から聞こえてくる。今シーズンはスタメン出場の機会が減ってはいたが、ベンチで投手陣にアドバイスを送るシーンがよく見られ、その存在感は大きかった。9月24日の阪神戦で9回に代打で出場した際には巨人、阪神の両チームのファンから「慎之助コール」が起こるなど、日本球界から愛されたプレイヤーだった。
阿部は外国人助っ人からも絶大な信頼を寄せられていた。記者はMLBの元職員で、日本の球団にも勤務していた関係者に話を聞いたことがある。これまで数多くの外国人選手が来日し、日本でプレーしてきたが、この関係者によると、その多くが阿部を球界ナンバーワン・プレイヤーだと評価したという。また、阿部の人柄も多くの元MLB選手の心をひきつけたという。
元MLBの大物AJからも尊敬を
前出の関係者によると、かつてバッテリーを組んでいたマーク・クルーン氏(46)は阿部のことを非常に尊敬していたという。プレイヤーとしてはもちろん、野球に取り組む姿勢などを高く評価していた。2013年から2年間、巨人でともにプレーした現DeNAのホセ・ロペス(35)も阿部を慕っており、ロペスと親交があった元楽天のアンドリュー・ジョーンズ氏(42)からの信頼も厚かったという。
阿部と交友関係にあった外国人選手たちは、阿部のことを尊敬の念を込めてこう呼んだという。「アベーブ・ルース」。MLBの伝説的な大打者で「野球の神様」と呼ばれるベーブ・ルース氏の名前をもじったものだ。野球の本場から来た元MLB選手たちから見ても、阿部の実績と人柄は野球の神様に匹敵するものだったのだろう。
元MLB選手をもとりこにしてしまう阿部の人柄。そして、阿部が球界に刻んだ多くの記録と鮮やかなプレーは、野球ファンの記憶となっていつまでも心の中に残ることだろう。
(J-CASTニュース編集部 木村直樹)