日韓の対立に終わりが見えないなか、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が2019年9月24日午後(現地時間)にニューヨークで開かれている国連総会で行った演説では、韓国と北朝鮮の間にある非武装地帯(DMZ)を「平和地帯」にする構想を中心に据えた。演説中に「日本」という単語は登場せず、正面からの日本批判を避けた形だ。
「真の反省が見えない日本政府と指導者を遠回しに...」
文氏にとって今回の国連総会は、日本が19年8月2日に韓国を「ホワイト国」(現・グループA)から除外後、初めて臨む多国間外交の舞台だ。演説のうち、「戦略物資の輸出制限、『ホワイトリスト』排除措置等を実施した日本を念頭に置いたという解釈が出ている」(中央日報)のが、次の発言だ。
「東アジアは第二次世界大戦が終わった後、侵略と植民地支配の痛みを乗り越え、相互が緊密に交流し、経済的な分業と協業を通じて、世界史に類のない発展を成し遂げてきた。自由貿易の公正な競争秩序がその基盤となった。 過去に対する真剣な省察の上に自由で公正な貿易の価値を固く守り協力するとき、私たちはさらに発展していけるだろう」
この発言の狙いを、ハンギョレ新聞は「直接批判する代わりに日本の変化を促した」と分析。婉曲な表現にとどめることで、日本側の譲歩を引き出したい考えのようだ。ただ、聯合ニュースは
「各国首脳が集まった場で、日本の経済報復措置が日韓両国だけの問題ではなく、国際社会の自由貿易の秩序をかき乱す次元の問題であるという点を強調したものと解釈される」
などと別の見方をしている。「過去に対する真剣な省察」を盛り込んだ背景には、元徴用工問題と慰安婦問題について「真の反省が見えない日本政府と指導者を遠回しに批判したものと解釈される」とした。
文氏の演説では、次の段落で
「韓国は隣国を同伴者と考えて協力し、朝鮮半島と東アジア、さらにアジア全体へと『人間中心、共生繁栄の共同体』を拡張していく」
とも言及。日韓関係は厳しい状況にあるものの「最終的には、東アジア地域の隣国として共存しなければならない関係であることを明らかにしたとみられる」(聯合ニュース)という。