鉄鋼大手JFE、ままならぬ株価 海外の事情に振り回されて...

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   鉄鋼大手、JFEホールディングスの株価がアナリストの評価格下げを材料に2019年9月18日に急落し、一時前日終値比5.1%(70円)安の1313円をつけた。

   19、20日も値を下げ、週明け24日も復調できず。8月15日の年初来安値(1167円50銭)が視野に入ってきた。鉄鋼メーカーは世界的な鋼材や原料の市況が経営を左右する面が大きいが、足元は経営に不利な環境にあり、当面の株価も軟調な展開となりそうだ。

  • 本社が入る日比谷国際ビルヂング(Lombrosoさん撮影、Wikimedia Commonsより)
    本社が入る日比谷国際ビルヂング(Lombrosoさん撮影、Wikimedia Commonsより)
  • 本社が入る日比谷国際ビルヂング(Lombrosoさん撮影、Wikimedia Commonsより)

9月に入って持ち直してきたものの

   18日の急落を呼び込んだのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の17日付リポート。JFEの投資判断を3段階で最上位の「オーバーウエート」から真ん中の「ニュートラル」に格下げし、目標株価も2590円から一気に1660円に引き下げた。理由として、「中国を中心とした外部環境が非常に厳しい」ことを挙げている。JFEは経営改革に取り組んでいるものの、需要の伸び悩みなどに対応するのは困難を伴うとして評価を下げた。

   JFEは8月9日に発表した2019年4~6月期連結決算(国際会計基準)の内容が厳しうえ、2020年3月期の業績予想も下方修正したため、8月中旬に値を下げ、年初来安値をつけた。9月に入ってからは株式市場全体が堅調だったこともあって見直し買いが入り、やや持ち直していたが、アナリストのリポートでJFEの経営環境の厳しさが投資家に改めて意識された格好だ。9月18日には当日高値(1346円50銭)が前日安値(1371円50銭)を25円下回り「窓をあける」チャート図となり、節目を印象づけることにもなった。

   JFEの経営環境とはどういうものか。8月9日に発表した業績予想の下方修正を確認しておこう。下方修正は2020年3月期の連結事業利益(税引き前利益から金融損益と一過性の項目を除いた国際会計基準の代表的指標)を従来予想の1800億円(前期比22.4%減)から400億円減額し、1400億円(40.0%減)と減益幅が拡大する内容。原料である鉄鉱石の価格が高騰する一方で、米中貿易戦争による需要減に直面し、利益が減ると見込んでいるのだ。鉄鉱石価格は、中国政府による国内景気刺激策で鋼材の増産が続いている影響で上昇基調にある。未定としていた純利益は45.0%減の900億円とした。

鉄鉱石、石炭の価格が下がるとの見方もあるが...

   こうした海外の事情による経営不振は2019年4~6月期決算にも表れており、事業利益は前年同期比63.1%減の307億円、純利益は65.2%減の197億円だった。中国景気の減速が日本企業の設備投資を冷え込ませて需要を減らす半面、中国の国内景気対策が原料費を上げるというJFEだけではいかんともしがたい環境が経営を揺らしている。8月9日以降、野村証券やゴールドマン・サックス証券、みずほ証券、SMBC日興証券、大和証券と国内外の大手証券会社が軒並み目標株価を引き下げており、極めつけが三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資判断の格下げだった。

   また、株価にじわりと影響を与えているのは、8月9日に決算などと同時に発表した配当政策だ。2019年9月末は1株当たり20円と前年同期より25円減らす(通期は未定)という内容で、業績とともに失望売りを招いている。

   鉄鉱石や石炭といった原材料の価格が今後は下がるとみる向きもあり、そうなればJFEには朗報だ。しかし米中貿易戦争の先行きが見えづらい中、それも期待外れとなる可能性もあり、JFE株が上昇気流に乗るには越えるべきハードルが多い。

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