ついに安室奈美恵グッズを「一部回収」 メーカー側の「模倣品」指摘から8か月

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   2018年限りで歌手を引退した安室奈美恵さんの関連イベントで販売されていたグッズ「フローティングペン」を「一部回収」すると、同グッズ製造販売元のデコレーションズ(東京都目黒区)が2019年9月22日に発表した。購入者には返金対応するとしている。

   同グッズをめぐっては海外メーカーの既存商品と同じ社名ロゴマークが刻印され、形状や内部構造も一致していたことから、この既存商品の輸入会社が「模倣品」だと指摘していた。

  • デコレーションズの公式サイトでの発表より
    デコレーションズの公式サイトでの発表より
  • エスケセン商品の正規輸入会社レトロバンクの公式サイトでの発表より
    エスケセン商品の正規輸入会社レトロバンクの公式サイトでの発表より
  • デコレーションズの公式サイトでの発表より
  • エスケセン商品の正規輸入会社レトロバンクの公式サイトでの発表より

「フローティングペン ピンク・ナチュラル」のうち18年11月2日以降届いたもの

   問題の商品は、2018年7~9月に東京・大阪・福岡・沖縄で開催された安室奈美恵さんの衣装・セットなどを展示したイベント「namie amuro Final Space」のグッズで、一部ネット通販でも扱われた「フローティングペン ピンク・ナチュラル」(以下、当該品)。そのうち回収対象となったのは「18年11月2日以降」に購入者の手元に届いたものに限られ、当該商品や購入を証明する明細書・メールなどを所定の宛先に送付すると返金される。回収期間は19年9月22日から12月25日まで(回収・返金手続きの詳細はデコレーションズ公式サイトに記載)。

   フローティングペンとは、透明で空洞のグリップ部分にオイルを入れ、絵柄などを浮かべたもので、ペンを傾けるとその絵柄が動く機構をもつ。インクが切れても楽しめるペンとしてコレクターもおり、アーティストのグッズとしてオリジナル品が作られることも少なくない。1946年創業のデンマークの文具会社ESKESEN(エスケセン)が世界的メーカーとして知られており、「MADE IN DENMARK」の文字と同社ロゴマークを組み合わせた刻印は、ブランド価値を担保する要素となっている。

   ところが、エスケセンと無関係であるデコレーションズの当該品に、エスケセンのロゴマークが刻印され、「MADE IN CHINA」の文字があったほか、形状なども一致していた。そのため、エスケセン商品の日本での正規輸入元である有限会社レトロバンク(東京都港区)が19年1月、公式サイトで当該品について「エスケセン社で製造した正規品フローティングペンではありません」「模倣品」として注意喚起。エスケセン商品について「正規品の生産は1951年より変わらずデンマーク王国ストアメルローズの工場のみです」「中国に工場はございません」と説明していた。

   一方のデコレーションズは18年12月、公式サイトへの発表で、当該品を「弊社が企画製造したオリジナルの商品となります」と主張。だが、19年1月29日のJ-CASTニュースの取材に「商標などの法律上の問題は別としても、ロゴマークが酷似していることは事実であり、先般の弊社発表において『オリジナルの商品』という表現を使用したことは誤解を招きかねないものであり、ここに深くお詫び申し上げる次第でございます」と謝罪し、対応を検討すると答えていた。

企画、製造段階では「該当した商標が確認されず」

   デコレーションズは今回の「一部回収」の発表で、「2018年11月28日、有限会社レトロバンク様より『デンマークESKESEN社のロゴが刻印されており、MADE IN CHINAと記載がある』とのご指摘を頂戴致しました」として、次のように回収の経緯を説明している。

「企画、製造段階で、フローティングペンに関する商標登録の有無を特許庁に確認しておりましたが、同時点においては、該当した商標が確認されず、また、発注先である中国工場の既成金型で製造された本商品に、ご指摘の刻印があることを見落として販売に至りました。しかしながら、その後、有限会社レトロバンク様のご指摘により、ESKESEN社のロゴが2018年11月2日に商標登録されていることを確認致しました。

有限会社レトロバンク様、ご購入者様に混乱を生じさせてしまったことをお詫び申し上げます。

有限会社レトロバンク様と協議させていただきました結果、円満な解決に至ることとなり、この度、商標が登録された2018年11月2日以降にお客様へ出荷いたしました本商品のみを対象として、回収及びご返金の対応をさせて頂きます」

   そのうえで再発防止について「一層品質管理の徹底に努める所存でございますので、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます」としている。

「HP上の告知文でお伝えできることが全て」

   レトロバンクも公式サイトで9月22日、一部回収について発表。当該品について「これを企画、製造、販売した株式会社デコレーションズとの間において、両者協議の末、当該製品の一部を回収していただくことで解決に至りましたことをご報告致します」として、デコレーションズのサイトURLを記載した。

   J-CASTニュースが24日、レトロバンクに取材を申し込んだところ、「こちらの件に関しては弊社としては弊社のホームページ上の告知文でお伝えできることが全てとなります。詳しくは株式会社デコレーションズのホームページ上での告知より該当リンクからお問い合わせ頂ければと存じます」としたうえで、「ご関係者の皆様へご心配をおかけしましたことをお詫びいたします。これからもデンマーク エスケセン社と共に『フローティングペン』という伝統を未来に繋げられるよう邁進して参ります」と答えた。

   デコレーションズに対し、(1)回収対象の商品の数はいくつあるか(2)レトロバンクやエスケセンにどのような対応をしたか――について取材を試みたが、「ウェブサイトに記載している以上のことはお話しできません」とのことだった。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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