「演技は上手だが、船を進めるタイプではない」
国連での会見についても、火力発電を減らすと断言した小泉氏に対し、その方法を外国メディアから聞かれると、しばらく沈黙して「私は、大臣に先週なったばかりです」などと言うだけだった。
小泉氏の最近の発言について、政治アナリストの伊藤惇夫さんは9月24日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「大臣としては新人で、政策などに通暁していないのはある程度仕方がないと思います。小泉さんは、如才がなく、受け答えの能力は高いです。確かに、表面的には正論めいたことを言います。しかし、外交や安全保障といったこの国の方向性についての主張で、納得できる発言は記憶にないですね。小泉さんの発言に中身や具体性、方向性がないことが、大臣になって表面化したのではないですか」
小泉氏が取り組んできた農協や国会の改革については、中途半端で終わったり、細かな内容が変わったりしただけの感もあると伊藤さんは指摘する。京都議定書後の変わるべき中身の話も、小泉氏から聞いたことはないという。
「小泉さんは、『こども保険』などそのときのキャッチ―な話題に飛び込むのが得意ですね。私は、天才子役みたいだと言っています。サーファーみたいに演技が上手ですが、船を進めるようなタイプではないということです」
小泉氏が首相の器かどうかについては、「未知数」だとしたうえで、伊藤さんはこう言う。
「小泉さんは、討論を生でやったことはないと思います。これまでは、インタビューで一方的な発言をするのがほとんどでしたね。その証拠に、記者が鋭い質問をすると、答えに詰まってしまいます。しかし、これからは、野党の厳しい質問に答弁をしなければならない立場です。大人の俳優になれるかどうか、その力が試されているのではないでしょうか」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)