巨人の阿部慎之助捕手(40)が今シーズン限りで現役を引退する。2019年9月24日、スポーツ紙など各メディアが一斉に報じた。阿部はすでに球団、原辰徳監督(61)に現役引退の意志を伝えているという。原監督指揮のもと、5年ぶりのリーグ優勝を決めたことが引退を決意した大きな要因になったようだ。来シーズンは指導者として球団に残る方向で、将来の監督候補としてナインの指導に当たる。
今シーズン序盤戦は代打の切り札としての起用が続き、6月1日の中日戦では通算400号を記録。捕手では、野村克也氏、田淵幸一氏に次いで3人目の快挙を達成した。チームの状態が低下していった中盤戦からは5番ファーストでスタメン出場する機会が増え、打線の主軸としてチームをけん引。ここ数年間は本職の捕手としての出番はほぼなかったが、チームの精神的支柱として存在感を示していた。
大城1塁コンバートならば捕手の補強は必至
今シーズンの成績は9月23日時点で92試合に出場して打率.299を残している。23日のヤクルト戦では8回に6号ソロを放ち、打点を「26」に伸ばした。阿部は球団記録となる入団から18年間連続して2ケタ本塁打をマークしており、残り3試合で記録更新の期待がかかっている。
昨オフにフリーエージェント(FA)で西武から炭谷銀仁朗捕手(32)を獲得し、今シーズンは炭谷、小林誠司(30)、大城卓三(26)の捕手3人制をとってきた。4人目の捕手として期待された宇佐見慎吾(26)はシーズン途中の6月に交換トレードで日ハムに移籍。プロ2年目の岸田行倫捕手(22)の成長に期待がかかるものの、この3人の競争に割り込むのは経験不足が否めない。
また、大城は打撃センスと勝負強さを買われ、今シーズンはファーストでの出場機会が多く、ファーストへのコンバート案も報じられてきた。クリスチャン・ビヤヌエバ内野手(28)の2軍落ちにより、岡本和真内野手(23)がサードを守る機会が増えた。阿部が抜けることで、ファースト大城、サード岡本で固定する可能性は十分にある。そこで浮き彫りになるのが捕手のポジションだ。炭谷、小林は一定の成績を残しているものの、現状をみれば両選手とも正捕手の座をつかみ切れないでいる。阿部が抜ける穴をどのように埋めるかが、巨人の今オフの大きな課題となってくるだろう。
楽天が獲得調査の報道も...
ここで俄然注目されるのが広島・会沢翼捕手(31)だ。会沢は今年5月に国内FA権を取得。打てる捕手として各球団の評価は高く、会沢は現時点でFAに関して沈黙を保つが、権利を行使すれば争奪戦になることは必至の状況で、一部スポーツ紙では楽天が獲得調査に乗り出しているとの報道も。複数の捕手制をとり、阿部が抜ける巨人にとっても魅力的な選手であることに変わりはない。
会沢は今シーズン、ここまで打率.277、12本塁打をマークしている。63打点の得点力も大きな魅力だが、それ以上に広島のリーグ3連覇を支えた「頭脳」は、同リーグならばなおさら獲得したい人材となる。昨オフは千葉出身の丸佳浩外野手(30)が、東京に本拠を置く巨人に移籍。会沢もまた関東の茨城県出身だけに、引き留めにかかる広島と会沢の動向が大いに注目される。
5年ぶりのリーグ優勝を決めた巨人だが、常勝軍団に求められるのは連覇。来シーズンはチームの核となるピースが欠けることになり、阿部の穴を埋めるべく補強は必須となる。クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズを控え、シーズンは現在進行形だが、これと同時進行で来シーズンに向けた動きが出てきそうな気配が漂ってきた。