たまにはロシアの話題を取り上げたい。2019年7月27日、永久凍土で知られるロシア連邦サハ共和国首都の近くにあるニージニー・ビスチャフまで旅客サービスが拡大された。今回はこのサハ共和国へ伸びるアムール・ヤクーツク鉄道を紹介しよう。
そもそもサハ共和国とは?
鉄道の話を始める前にロシアの共和国について説明したい。ロシアは世界一の陸地面積を誇る連邦国家であり多民族国家である。ロシア人以外の主要民族の生活や文化を保護するために、ウクライナと係争中のクリミア共和国も含め22の共和国が存在する。
サハ共和国はその中のひとつ。日本の約8.2倍もの面積を有し、ヤクート人、ロシア人、エヴェン人などが居住している。首都はヤクーツク。国土は永久凍土とダイヤモンドをはじめとする鉱物資源に恵まれている。
サハ共和国へはシベリア鉄道のスカヴァロジナ駅からアムール・ヤクート鉄道が乗り入れている。しかしこれまで、旅客サービスは首都ヤクーツクからかなり南方の町・トンモトまでだった。
これが2019年7月27日、約400キロ北にあるニージニー・ビスチャフまで旅客サービスが拡大された。運営はロシア国鉄ではなくヤクート鉄道が担当する。ニージニー・ビスチャフはレナ川を挟んでヤクーツクの対岸にある町。冬以外はフェリー、冬は川が凍るため自動車での移動も可能とのことだ。なおヤクーツクには空港はあるが、日本からの直行便は設定されていない。
一体どれくらいかかるの? 延長の予定は?
それでは日本からアクセスしやすい極東のウラジオストク駅からどれくらいかかるのだろうか。ロシア国鉄のホームページを基に調査した結果、下記のルートが表示された。
ウラジオストク00:51(11月28日)
ベラゴルスク01:19(11月29日)
ベラゴルスク06:44(11月29日)
トンモト17:25(11月30日)
トンモト19:00(11月30日)
ニージニー・ビスチャフ 06:01(12月1日)
なかなか旅行するには厳しい日程かもしれない。なおヤクート鉄道の切符はロシア国鉄のホームページから購入できる。
ロシアからの報道によると、ニージニー・ビスチャフからレナ川を渡りヤクーツクに至る橋梁を建設しているが、完成時期は明示されていない。将来的にアムール・ヤクート鉄道はアラスカの向かいにあるチュコト半島まで伸ばしたいとしている。現在のペースだといつまでに完成するのだろうか。いずれにせよ、一度は鉄道でヤクーツクまで行ってみたい。
(フリーライター 新田浩之)