伊藤忠、株価「上場来高値」更新なぜ? もともと投資家の評価集めていたが...

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原油価格上昇が大きな追い風に

   8月30日に目標株価を2350円から2420円に引き上げたSMBC日興証券は、足元で進めている自社株買いなどの株主還元策にも注目する。伊藤忠は2018年10月に「株主還元方針」を発表し、発行済み株式総数の約5%に相当する7800万株の自己株式を月内に消却するとした(消却すれば株主の持つ1株当たりの価値は確実に高まる)。さらに中期的に配当性向を30%(2019年3月期は約26%)に高める目標を設け、合計1億株(当時の株価で約2200億円相当)の自社株買い実施方針も示した。この発表を受けて当時、株価は上場来高値を更新した。2019年6月の発表分によってすべて達成する見込みとし、「株主還元方針」のアップデート版にも注目しているという。そうした市場との対話を重視する現経営陣の株主還元策への期待感が株価を下支えしているようだ。

   ここへ来て中東でキナ臭い動きが続き、原油価格が上昇している。サウジアラビアの石油施設への攻撃を受けて16日のニューヨーク市場の原油先物の終値は1バレル62.90ドルと前週末比15%高となった。原油価格の上昇は日本の消費者にとってあまり良いことではないが、商社にとっては朗報となる。会社によっては1バレル当たり1ドル上昇すると、30億円近い増益になるとの指摘もある。伊藤忠にとっても追い風で17日の株価の上昇は原油価格を織り込んだと見られている。というわけで、伊藤忠株はまだまだ、上昇気流に乗る可能性がありそうだ。

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