新型の「iPhone 11」が発売された。最も安いモデルは、前年発売のそれと比べて、50米ドル安価に設定された。
ここ数年、スマートフォンの価格は右肩上がりが続いている。圧倒的人気機種の「値下げ」で、スマホの高価格化に一石を投じられるか。
649ドル→699ドル→749ドル
2019年9月20日に発売された新型iPhone。アップルでの直販価格は、「iPhone 11」64GB(ギガバイト)が699ドル(日本では8万784円。以下、発売日時点の消費税8%込)。前世代の最も安いモデル(iPhone XR 64GB)は749ドルだったため、50ドルの値下げとなった。
iPhoneのラインアップは毎年更新されるが、ここ数年、最廉価モデルの価格は右肩上がりだった。2016年発売のiPhone 7は649ドル~、17年のiPhone 8は699ドル~、そして昨年が749ドル~。しかし、今回の新型iPhoneで、価格水準が若干戻った形になる。
アップルではなく、携帯各社から買った場合はどうか。国内キャリア(通信事業者)でのiPhone 11(64GB)の標準価格は、NTTドコモが8万5536円、ソフトバンクが8万9280円、au(KDDI)が8万8992円。いずれも直販より数千円高めの設定になっている。
iPhoneに先駆けて、価格帯を引き下げたのが、グーグルが出しているAndroidスマホ「Pixel(ピクセル)」だ。グーグルは18年10月、「Pixel 3」を発売したが、その価格は64GBが799ドル(日本価格9万5000円)と、iPhone XRよりも50ドル上回る設定だった。
しかし、19年5月に発売された「Pixel 3a」64GBモデルでは、399ドル(同4万8600円)と大幅に価格を下げた。この機種は「Pixel 3」よりもスペックを落とした廉価版として出されたが、ユーザーからはソフト面では大差がないと評価されている。
グーグルは、来る10月15日に新たなPixelシリーズを発表すると予告している。「Pixel 4」とも予想される新機種が、もしiPhone 11同様の価格帯に来るとなれば、ライバル各社もその水準に合わせてくる可能性がありそうだ。
携帯各社は「最大半額」で攻勢かける
iPhoneが値下げしたといっても、依然として約8万円から。一括ではなく分割払いで、月々の負担を減らしたい消費者も多いはずだ。大手キャリアは、ここぞとばかりに分割購入の攻勢をかけている。ソフトバンクとauは、それぞれ「半額サポート+」「アップグレードプログラムDX」(月390円)を今秋からスタート。機種を分割48回で購入し、25か月目以降、新たに指定端末を購入した場合に、それまでの機種を返却すると「最大半額」が支払い不要になるというものだ。NTTドコモも、分割払いで途中返却する「スマホおかえしプログラム」をアピールしている。
アップル公式の下取りサービス「Apple Trade In(アップル・トレードイン)」を使うのも手だ。それまでのiPhoneを下取りに出せば、より安価で新端末を購入できる。9月20日時点で、最大下取り額が最も高いのは、iPhone XS Maxの6万2060円。状態さえよければ、購入の足しになるだろう。ちなみに同機種最高モデルの512GBは18年9月の発売時、直販価格17万7984円だった。
これらの流れを見ていると、スマホの買い方は今後、「価値が落ちないうちに下取り、もしくは返却」を繰り返すのが一般的になってくる可能性がある。乗り遅れないように筆者も、発売日の出勤前に、iPhone 11を直販で買ってきた。1年後に下取りに出せるよう努力するが、なけなしの貯蓄から自腹を切っているのに「借り物」のような気がして、なんだかムズムズしているのも事実だ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)