前澤氏「身売り」で論争も... 米国流の「イグジット」とすれば大成功

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事業続けるのが美徳の日本、イグジット評価の米国

   こうした折、前澤氏は起業家としての大先輩である孫氏に相談する中で、ソフトバンクグループ傘下でインターネット通販事業の強化を目指すヤフーがZOZOの株式の50.1%を株式公開買い付け(TOB)によって取得し、子会社化することにまとまった。ZOZOは2019年3月期に売上高が初めて1000億円を超えた一方で、純利益は初めて前期を下回り、前澤氏の感性に頼った経営では限界が見え始めていた矢先だった。現代アートの購入のための借金が週刊誌をにぎわし、前澤氏が保有するZOZO株の大半が一時、個人としての借り入れのために金融機関の担保に取られていたこともあったという。

   ヤフーがTOBに費やすのは約4000億円。ZOZO株の約36%を保有する筆頭株主の前澤氏は約30%分をヤフーに売却する。一つの事業を続けることが「美学」のように称賛される日本とは異なり、米国では株式を売却して利益を得るイグジット(出口)は創業者にとって目標である。「身売り」としてネガティブな捉え方も少なくなく、さまざまな議論も読んだ前澤氏だが、この観点からすれば、まさにイグジットに成功したといえる。

   記者会見で前澤氏は、今後は宇宙旅行に向けたトレーニングなどの準備に時間を割く意向を示したが、将来的には「事業をもう一度やりたい」とも述べた。

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