広島のリーグ4連覇が消滅した。広島は2019年9月19日、横浜スタジアムでDeNAと対戦し、延長11回8-11のサヨナラ負けを喫した。
5回までに7点差をつけながらも、6回にネフタリ・ソト外野手(30)の3ランと梶谷隆幸外野手(31)の満塁弾で同点に。8回に会沢翼捕手(31)のソロ本塁打で逆転するもその裏に梶谷のタイムリーで同点に追いつかれ、11回に再びソトに3ランを浴び、大逆転の末、サヨナラ負けした。
4点リードの5回、1死1、2塁の場面で4番・長野久義外野手(34)が、今永昇太(26)の投じた130キロのチェンジアップをバックスリーン叩き込んだ。DeNAのエースから5回までに7点を奪い、マウンドから引きずり落とした。鯉党の誰もが確信した「勝ちゲーム」。だが、これは悪夢の始まりに過ぎなかった。
今シーズンを象徴するような「後手采配」
6回、広島先発・床田寛樹投手(24)が突如乱れる。安打と四球で1死1、2塁としたところでソトに3ランを浴びた。続く嶺井博希捕手(28)、大和内野手(31)に連続安打を許し、1死1、2塁の場面で降板。後を継いだ九里亜蓮投手(28)は中井大介内野手(29)に四球を与え1死満塁のピンチを招き、梶谷に満塁弾を浴びた。この回、2本の本塁打でまさかの大量7失点。試合が振り出しに戻った。
延長戦に突入すると、流れはDeNAに大きく傾いた。10回、11回と広島はあっさりと三者凡退。延長は回をまたいで今村猛投手(28)が2イニングを任されたが、DeNAの押せ押せムードに圧倒されるように、ピンチの連続。そして延長11回、先頭ホセ・ロペス内野手(35)にレフト前にポテンヒットを許し、これで動揺したのか続く桑原将志外野手(26)に死球を与え、ソトに痛恨の3ランを浴びた。
ビッグイニングとなった6回は、今シーズンの広島を象徴するような「後手采配」がみられた。ソトに3ランを浴びた床田を引っ張り、1死1、2塁のピンチで九里を投入。ここ最近、先発のマウンドが多かった九里をあえて中継ぎに起用する総力戦の構えを見せたが、結果、大逆転負けの引き金となってしまった。
中日とは2.5ゲーム差、CS逃せば去就問題
今シーズンは開幕5カード連続で負け越し、最悪のスタートを切った。FAで巨人に移籍した丸佳浩外野手(30)の穴を埋めきれず、リーグ3連覇を支えた田中広輔内野手(30)や中崎翔太投手(27)が大不振。フルイニング出場記録がかかっていた田中を起用し続けた指揮官に批判の声が向けられるなど、シーズン途中から采配を巡る鯉党の監督批判がネット上でたびたび巻き起こった。
今オフには主力選手の流出が懸念される。菊池涼介内野手(29)はポスティングシステムによるMLB移籍を熱望しており、すでに会沢、野村祐輔投手(30)が国内FA権を取得済みで、今オフの動向が大いに注目される。また、ドーピング違反で6カ月間の出場停止処分を受けたサビエル・バティスタ外野手(27)の処遇については現時点でどう転ぶは分からないが、最悪、来シーズンは4人の主力が抜ける可能性がある。
悲劇的な逆転サヨナラ負けに緒方孝市監督(50)は「結果は受けて止めている」と話し現実と向き合う。リーグ4連覇が消滅し、4位・中日に2.5ゲーム差まで詰め寄られCS進出を逃せば、指揮官をはじめ首脳陣の去就問題が表面化するのは必至の状況だ。圧倒的強さを誇った広島の姿はどこにもない。このまま「冬の時代」に突入してしまうのか。球団は「改革」に乗り出すのか。広島に残された時間は多くはない。