ラグビーワールドカップ2019日本大会が2019年9月20日に開幕するのに合わせ、LGBTなど性的少数者とスポーツにかかわる情報などを発信する施設「プライドハウス東京2019」が、11月4日までの期間限定で、東京・原宿のコミュニティースペース「subaCO」にオープンする。同施設は、日本ラグビーフットボール協会(JRFU)が後援している。
オープンに先立って19日、施設が設置される同所でトークイベントがあり、現役のラグビー選手らが性的少数者の課題に対してできることなどを語った。
LGBTについての無知に「すごいよくなかった」
プライドハウスは、2010年のバンクーバー冬季五輪で生まれた。スポーツ界では、セクシャルマイノリティーへの差別や偏見が根強い中、当事者への正しい理解を広げる情報、当事者・支援者の選手や家族、観光客が過ごせる場所を提供しようと、地元のNPOが立ち上げた。今回の施設を開いた任意団体「プライドハウス東京」コンソーシアムの松中権代表によると、「ラグビーの大会のタイミングで開催するのは世界初、日本でプライドハウスを企画するのも今回が初めて」だという。
トークイベントには、フェンシングを15年間してきた杉山文野さん、日本ラグビーフットボール選手会(JRPA)の川村慎副会長(NECグリーンロケッツ)と同会の稲橋良太選手(クボタスピアーズ)が参加した。
フェンシングの元女子日本代表だった、杉山さん。戸籍上は女性だが、トランスジェンダー男性。杉山さんは、「ラグビーというとすごく雄々しいスポーツ、男らしいスポーツ。その分、カミングアウトもしづらいんじゃないかなと」と推測する。
「ぼくも当事者として、スポーツの世界だと、例えば男性が練習中に、ちょっとへばっていたりとかすると、『そんなんでへばって、オカマかよ』みたいな言葉を現役時代、目にしたり耳にしたりということがよくあった」(杉山さん)
杉山さんは、自身の体験を踏まえた上で、そういった内容を耳にしたことはあるか、などと2人に問いかけた。
川村副会長は、「意識せずに傷つけている部分や排他的になっていた部分はすごくあった」などと省みた。しかし、LGBTに関する勉強会にも参加して、「今までぼくがやっていたことなど無意識に感じていた部分をもう少し、意識を高く持って発言しなきゃいけない」と気を引き締めた。
稲橋選手も「勉強会を受けるまで、あまり意識して考えることがなかった」と明かし、「ぼく自身思い返すと、そういう言葉を使っていたと思い当たる節がある。無知やったこと、すごいよくなかった」と語った。