巧みに偽装、一見しただけでは判別できず
このような偽アカウントが声優界に現れる理由について、井上氏は「声優ファンのタコツボ化」を指摘した。もともとアイドルや俳優に比べると相対的に、声優のファンは少ないが、一方でファン個人の声優の好き嫌いが強くなり、好きな声優も多いが嫌いな声優もいる、という状況になりがちだという。
また声優の場合は出演作品や性格・趣味についてネットで手軽に情報を集めることができ、身近になったかのような感覚を抱きやすい。現状では多くの声優がSNSを活用する一方、そのアカウントにしばしば公式マークがついていないのも、なりすましが跋扈(ばっこ)する一因になっているかもしれない。
井上氏は、偽のアカウントで芸能人になりすますのは多くの場合、芸能人への愛情をこじらせてやってしまうファンの行為、あるいはアンチの仕業と推測する。特定の人を応援や執着が強くなるあまりに、その人になりきりたい心理や承認欲求が芽生えてしまうという。またアンチユーザーがその人を貶める目的でなりすますケースも考えられるそうだ。
前述のように対象を研究して巧みに偽装されたプロフィールは一見偽者とはわからない。偽者と気づかないファンによって拡散されることで、なりすましの犯人の目的は達成されてしまう。ツイッター社の対策で以前に比べるとなりすましは激減しているとのことだが、未だにこのようなアカウントが現れる。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)