「そのままの形でできるとは...」専務理事の発言の意味
透明度の高い選考レースになったことに関して尾県専務理事は「高く評価できる」とした一方で、MGCの継続については「そのままの形でできるとは思えないが、この要素をどう継承していくか検討していきたい」と話すにとどまった。尾県専務理事の言葉をどう受け取るかにもよるが、今回のような1レースでの一発選考会の開催は難しいということだろう。
日本マラソン史上初の試みとなった今回のMGCは、スポンサーやメディアの「配慮」があって開催にこぎつけた。これまで複数のレースが選考の対象となってきたが、今回はMGCに一本化された。「東京五輪でのメダル獲得」を掲げる日本陸連の意向を各大会のスポンサーやテレビ局が尊重したもので、本番とほぼ同じコースを選考レースとすることで選手が得る多くの利点を考慮したものでもある。
今回のMGCはあくまでも五輪の自国開催に伴うもので、尾県専務理事が話すように、次回の2024年パリ五輪の代表選考が、今回の形式を維持したままの選考会となるかは不透明だ。五輪本番のレース結果が出る以前に、今回のMGCを「成功」と判断するのは早計かもしれないが、選考方法において異論を唱える者は少ないだろう。日本陸連初の試みは一応の結果を出したものの、次回が一発選考でなければ元の木阿弥となってしまう。マラソンファンが求めているのは、誰もが分かる選考であり、日本陸連に求められるのは、これ以上「悲劇」を繰り返さないことである。