5社連合構想も
メーカー側は、日立が1月に英国での原発新設計画が凍結になり、東芝も米国での原子力事業で巨額の損失を計上して海外案件から撤退している。ただ、両社は、再稼働や廃炉を中心に、技術の継承や人材育成の点からも、単独より東電などとの協力に意義を見いだし、協議には前向きだ。
具体的な協力の行方はどうか。
まず、福島の廃炉は共同事業の対象としないほか、再稼働の見通しが立たない柏崎刈羽と浜岡も、東電と中部電がそれぞれ主体的に取り組むとみられる。
そこで、注目が東通だ。東電は1、2号機を計画し、1号機は2011年1月着工したが、2か月後の東日本大震災で工事が中断し、敷地はほぼ更地のまま現在に至る。東電は東通を共同事業化の候補と考えている。安全対策強化で高騰した原発の建設コストの負担をシェアでき、建設を進めやすくなると期待する。
東電の東通は予定地に隣接して、停止中の東北電力の東通原発がある。稼働再開に向けた安全対策の負担が重くのしかかるのは東北電も同じだから、合流して5社連合として東通原発全体を運営するという構想も、従来から浮かんでいる。