インド進出への足掛かりに
では、トヨタの目的は何か。一つは「仲間づくり」だ。豊田社長は自動車大変革時代に対応するため、「自動車メーカーからモビリティカンパニーへの変身」を掲げており、近年は陣営拡大に余念がない。既にダイハツの完全子会社化や日野の連結子会社化、スバル・マツダとの資本提携を実現させた。今回のスズキとの資本提携により、「トヨタグループ」の日本車メーカーは6社に増えることになる。
だが、それ以上にトヨタにとって魅力的なのは、スズキが強みを持つインド市場攻略の足場ができることだろう。インドは将来的に中国を凌いで世界最大の自動車市場になると見込まれている。世界の自動車メーカーが次々と現地に進出し、競争が激化。各メーカーがスズキの牙城を崩そうと苦心する中、そのスズキとの協業はトヨタにとって大きなプラスになるはずだ。
スズキの申し入れで実現した両社の資本提携。関係深化の先にあるのは何か。「最後に大きな果実を得るのはトヨタではないか」という声も関係者から聞こえてくる。