精神的ダメージに加えて経済損失も
君津市の南に位置する鴨川市。中心部から電車で6分ほどの天津(あまつ)は9月14日午前中までに、ツイッターで「停電が解消されていない地域が多い」との投稿が複数見られた地域だ。取材の途中、隣の家に「停電、大丈夫ですか」と声を掛ける住民や、天津小湊公民館で食料や水を配布している様子が目に入った。
海岸近くで会った女性に聞くと、「今朝(14日の朝)、やっと電気が来ました」と話した。「大変でしたね」と声を掛けると、「ええ、なにせ5日間(の停電)ですからね」と疲れた表情で応じた。
JR安房天津駅の近くで食料品店を営む男性は取材に対し、「停電が解消したのは、13日の夜です」と答えた。「台風の後は猛暑が2日ほど続いたのでつらかった。窓を開けっぱなしにするしかありません。真っ暗なのも怖かったですね」。
停電のため、男性の店ではアイスクリームが冷やせないのをはじめ営業面の損害が出た。海の街・鴨川は、漁業関連の従事者が多い。鮮魚店や水産加工業者にとっては、魚を保存する冷蔵庫が使えなくなるなど大きな支障となった。「こうした経済損失が積み重なって、産業面では大きな被害になると思います」と指摘した。
天津の住民は高齢者が多いと男性は説明する。「停電中、夜は真っ暗でした。そして耐え難い暑さ。精神的なダメージは大きかった。ひとり暮らしのお年寄りのなかには、耐えられなく人がいてもおかしくありません」と表情を曇らせた。
東京電力が発表した千葉県内の停電軒数は、9月15日15時時点で約13万1000軒。熱帯低気圧の影響で、千葉県では15日夜から16日明け方にかけて大雨になるとの予報が出ており、心配な状況が続く。
(J-CASTニュース編集部 荻 仁)