「水の女王」が「陸の肉弾戦サポーター」へ――。
元競泳日本代表の伊藤華英さんは現在、9月20日に開幕する「ラグビーW杯2019日本大会」のドリームサポーターとして活動している。しかし「水」と「陸」、「個人競技」と「団体競技」...。そんな「逆の世界」ともいえるラグビーに、なぜ、ハマったのか? J-CASTニュースが取材した。
「美人スイマー」の現役時代、膝の故障が原因で...
伊藤さんといえば2008年北京五輪、12年ロンドン五輪の競泳日本代表選手として名を馳せた、押しも押されもしないトップアスリートだ。173センチという恵まれた体格で、ダイナミックな泳ぎで日本中を魅了した。特に同学年の寺川綾さん(現スポーツキャスター)とはライバル関係で、ともに「美人スイマー」として多くのメディアにも取り上げられた。
そんな伊藤さんは現役時代だった2009年、練習中に膝を故障。リハビリ施設に通うことを余儀なくされた。練習中の脱臼だったという。
「そのリハビリ中、ラグビーのトップリーグ(TL)選手と出会って。競技こそ違っても、やっぱり同じアスリート同士で、だんだん仲良くなって...。それで『1度、試合を見に来れば?』って誘われたのが最初でした」
「もともと分からないことを知りたい性格」と自己分析する伊藤さんは、興味本位でとりあえず、スタジアムに足を運んだのだそうだ。
「初めてなので、ルールも何もチンプンカンプン(笑)。ただ、1つの楕円球を80分間も追いかけて、ぶつかり合って...。『トライアスロンの次にキツい競技だ』って思いましたね」
ラグビーという競技は、とにかくケガが多い。そんな中、リハビリを通じて友達も増えていった。見に行くにつれ、あることに気付いた。
体格に関係なく「個性が生きる」スポーツ
伊藤さんは続ける。
「ラグビーって大きな選手、小さくてもパスが上手な選手、キックが得意な選手、ライン際をすごいスピードで駆け抜ける選手...。どんな選手でも、それぞれの役割があって頑張っているところが面白いな...って」
友達も増えたことから、グラウンド外での付き合いも増えた。
「でも、グラウンドではあんなに激しいのに、外で会ったら、普段は皆、ハニカミ屋で紳士的で。そういったところも、魅力的だなって」
現役引退後は早稲田大修士課程、順天堂大博士課程で学んだ伊藤さんは、その実績を買われ、2017年6月から20年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会広報局に勤務。加えて、今年のラグビーW杯のPR活動などを担う「ドリームサポーター」も務めている。
そんな時に出会ったのが、同じ仕事に携わっていた1歳上の一般男性だった。パラスポーツなど「同じスポーツに関わる仕事をしていたことで意気投合して」。本格的な交際に発展し、2019年1月20日、ご主人の実家がある京都市内で挙式した。
「自分らしくいたい」...結婚後も変わらないスポーツ愛
結婚を発表した伊藤さんは一部メディアに、
「『結婚する人はビビッと感じるよ』とか、『出会った瞬間にこの人だってわかるよ』とか、よく聞いてはいました。でも自分にそんなことが起こるのか、あまり信じられませんでした」
しかしながら、ずっと決めていたのが「自分らしく、ありのままでいられる人と出会ったら結婚したい」ということだった。夫もスポーツ関係の仕事をしており、経営などの専門知識も豊富で、頼りになる存在だそうだ。
伊藤さんは、
「ミセスになりましたけど、夫婦ともども頑張って参ります!」
ラグビーW杯、東京オリンピック・パラリンピックへ向け、二人三脚で頑張っていく決意を表明した。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)