戦後建築の再生の行方は?
とはいえ、日本は欧米に比べると近代建築の保存率は低く、ほとんどの建物は解体され、建て替えられてきた。横浜市庁舎の存続には、自治体の施策や土地柄という幸運も作用したのではないかとも考えられる。横浜市内の関内・山下エリアは明治以来のレトロ建築も多く残されていて、それらが横浜らしさの象徴として地元に浸透していた。まちづくりにおいて景観を重視する市の施策の中で、市庁舎も横浜らしい建築として価値を認められたといえるだろう。
19年9月4日に発表された再開発計画では、現庁舎敷地にはホテルの他に商業施設・大学・ライブビューイングアリーナも設置される計画で、市民が集まる横浜市街地のコアのような役目も担う。
戦後の建築も観光・商業の資源として稼げるという認識が広がれば、解体せず保存する選択肢がより認められやすくなる。とはいえこの再開発計画をベストとせずに、建築保存の方法を議論していければと倉方准教授は期待を寄せる。横浜市庁舎の保存と再生は、価値ある公共建築をいかに後世に残すかの重要な事例になる可能性があり、再開発後もどう活用されていくかも注目の必要がある。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)