「だから私は推しました」「推し武道」... なぜ今「女性アイドルオタク」ものが注目されるのか

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「推し武道」でもリアルに描かれる女性アイドルファンとは...

   15年から連載開始し、20年1月からのアニメ放映も決定済みの平尾アウリさん作「推しが武道館いってくれたら死ぬ(通称推し武道)」も、岡山の地下アイドル・ChamJamのメンバー・市井舞菜の熱狂的オタクである女性「えりぴよ」が主人公だ。えりぴよをはじめとするオタクたちの生き様やChamJamとの交流が描かれている。

「だから私は推しました」の遠藤愛も「推し武道」のえりぴよも共に女性で、推しのアイドルに惜しみなく時間と金を注ぐ「トップオタ(TO)」と呼ばれる部類の熱狂的なオタクであるところまで共通している。

   両作はフィクションではあるが、女性のアイドルオタクは実際に存在し、その数は決して少なくない。自らもハロー!プロジェクトの長年のファンであるアイドルライターの乗田綾子さんは、同性を応援する女性のアイドルファンの実態をこう推測する。

「例えばここ10年ほどの間に女性ファンが急増し、そのまま定着しつつあるハロー!プロジェクトの場合は、規模の大きいライブ会場だと客席の半分が女性ファンという光景も珍しくなくなってきました。
 いわゆる『地下アイドル現場』だと、やはり客席を埋めるのは圧倒的に男性ファンになりますが、それでもどんなに小さなライブの会場でも、熱心な女性ファンが応援に来ている姿は必ず見かけますね。彼女たちはライブ後の特典会、握手やチェキ撮影にも、男性ファンと変わらぬ知識や熱量で参加していきます」

遠藤愛やえりぴよのような女性は確かに実在するようだ。乗田さんはさらに、

「『女性アイドルを応援する女性ファン』は急に出現してきたわけではなく、松田聖子さんや中森明菜さんの時代からは確実に、日本社会に存在していたと思います。ただ圧倒的マイノリティとして、ファンコミュニティ以外で気にも留められていなかったその存在は、2010年代の握手文化とSNSの普及によって可視化され、外部からもわかりやすく認識されるようになっていきました」

と考えている。ネットで気軽に趣味を公表し同好の士がつながれる時代になり、同性アイドルを推す女性たちも目立つようになったといえる。珍奇の目で見られることもあるが、当人たちの気持ちは真剣だ。「推し武道」のえりぴよが舞菜を応援する様などはコミカルながらも「積む」「塩対応」といったアイドル界の用語を使ってリアルに描かれており、男女問わずアイドルファンの共感を呼んでいる。

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