ソフトバンクが「最新スマホが最大半額OFF」をうたう「半額サポート+(プラス)」を開始した。ソフトバンク回線を契約していなくても利用可能だといい、au(KDDI)も続いて、同様の「アップグレードプログラムDX」を開始すると発表した。
2019年10月1日から施行される改正電気通信事業法では、回線契約と端末購入をわける、いわゆる「分離プラン」が義務化される。今回の「半額サポート+」や「アップグレードプログラムDX」は、それを受けての新サービスだが、実際には回線も端末と同じ事業者を選ばせる策なのではとの指摘も出ている。
新たな「縛り」が生まれるとの指摘も
新サービスでは、月額390円の「プログラム料」を払った上で、48回の分割払いで機種を購入し、25か月目以降に指定の機種へ買い替え、旧機種を返還した場合に、最大24回分の割賦金が支払い不要になる。25か月ちょうどで機種変更すれば、ちょうど「半額」になるカラクリだ。9月20日に発売される新型の「iPhone 11」も対象機種となっている。
ここまでだと「他社回線を契約していても、ソフトバンクやauのお金で安くスマホが買えるんだ。やったね!」と思うが、当然ながら注意も必要だ。そのひとつは、購入から100日間、SIMロックが原則として解除できないこと。これは不払いを防ぐために設けられた制約だが、「格安SIM」ではSIMロック解除が必要なケースが多く、最低3か月待つ必要が出てくる。
これらのサービスは、たしかに料金プランとセットではないため、表面的には「分離プラン」だ。しかし、SIMロックを「実質的な縛り」とみなして、改正電気通信事業法には違反していないが、法の趣旨には反していると指摘する識者やメディアもある。各社報道によると、9月11日の総務省の有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」(第17回)では、出席者から100日縛りが「囲い込み」につながるのではとの指摘が出たという。あわせてネット上では、機種の返却時に、指定機種への買い替えが必要なことも、新たな「縛り」なのではとの声もある。
高市新総務相は以前にも...
石田真敏総務相(当時)は9月10日、内閣改造前最後の閣議後記者会見で、このサービスについて、「通信料金と端末代金の完全分離という改正電気通信事業法の方向に沿ったものというふうに聞いております」とした。一方で、
「端末を特定の携帯電話事業者でのみ使用可能とするSIMロックについては、解除についての一定のルールを定めておりますが、通信と端末の分離が進む中で課題がないか、有識者会議においてもご議論いただきたい」
とも発言し、これを「牽制」と伝えるメディアもあった。
後任の高市早苗氏は、前回総務相を務めていた当時(14~17年)、2年縛りをはじめ、あらゆる携帯業界の慣習にメスを入れた。再任後初となる12日の閣議後会見では、分離プランについて「通信料金と端末料金を分けて対応していくことで、端末の機器間でも競争というのが起こって低廉化していくものと、私は期待をいたしております」と見解を示したが、さらなる議論については現状で踏み込んでいない。
ソフトバンクが「半額サポート+」を発表したのは9月9日(サービス開始は13日)。KDDIは12日に「アップグレードプログラムDX」(10月1日開始予定)を打ち出した。なおNTTドコモも6月から、36回分割で機種を購入した場合に、最大12回分の支払いが不要になる「スマホおかえしプログラム」を行っているが、こちらは返却時の機種変更が必要ない。ライバル2社の新サービスを受けて、ドコモのサービスにも、なにか変化が起きるのだろうか。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)