上海AI大会で感じた「陰の薄さ」 中国に日本企業はどう向き合うべきなのか

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次の連携の形をどう実現するか

   「結局のところ、最近の中国の変化のあまりの速さに、日本の大企業組織の縦割り構造がまったく付いていけていないんです」と指摘したのは、10数年前に初めて中国駐在を始めた人だ。日本側からすれば、特にITに絡む分野での最近の中国側の事業提案は規模や投資金額も大きく、往々にして突拍子もなく感じられる。その採否にあたって大きな組織内のあちこちの合意に手間取っている間に、中国側は日本側の誠意を疑い、話はご破算になってしまう――。こういうケースが少なくないのだという。

   別の人は、まさに現在進行形で疾走しているIT分野の技術革新について、未完成な部分はモデルチェンジの際にどんどん修正していく、とにかくスピード最優先の中国に、「完璧主義の日本はとてもかなわない」と指摘した。変貌著しい中国市場にどう向き合えばよいか、「多くの企業は新たな戦略を描けないままでいる」と語る人もいた。

「中国は自分たちの製品を売るところ、という意識から日本側がなかなか抜け出ることができないわけです。中国経済はそのうち『崩壊する』と、メディアでも流れるしね。腰を据えた長期戦略を打ち出しにくい空気は、どこの会社にも共通するんじゃないですかねえ」

   対中ビジネスの第一線に立つ彼らの話から、中日経済関係は過渡期、移行期にあるのだという思いを、私は新たにした。この過渡期をうまく乗り越え、「中国のイノベーション能力と日本の優れた生産技術を組み合わせる」といった、次の連携の形を実現させるためには、どうすればよいだろうか。

   一行と私に共通したのは、少しでも多くの日本人が中国の現実をじかに知ることの大切さだった。「中国に来たのはこれが初めて」という人は、次のように語った。

「こんど上海や(アリババ本社のある)浙江省杭州を回って、驚いたんです。中国では環境問題が厳しく、腐敗がひどく、公衆トイレは猛烈に臭いみたいな話を日本ではとかく聞かされていたもので。中国に来て初めて、自分の目で、リアルな中国を見た気がしました」

   中国との「戦争」のさなかのはずのアメリカ巨大企業がどれだけ中国市場を重視しているか。多くの中国人にアメリカの技術、サービスへの関心がいかに高いか。上海で目にしたそれらも、彼にとっては「リアル」だったに違いない。メディアや風説が作ったレッテルなどから離れたナマの現実に、ビジネスチャンスや次の発展のきっかけは潜んでいるはずだ。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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