2019年9月20日、「ラグビーW杯2019日本大会」が、いよいよ開幕する。ところで、前回「2015イングランド大会」で、日本代表は南アフリカ代表から歴史的勝利を挙げ、スコットランド代表には敗れた。また、南ア代表はスコットランド代表に勝ち、3チームが「3勝1敗」で並ぶという、肉弾戦のラグビーでは珍しい「三つ巴」状態となった。
だが、3勝1敗同士だったのにもかかわらず、日本代表は3位。決勝トーナメントには進むことができなかった。なぜか? というと、ワールドラグビー(WR)が定める「勝ち点」のルールがあるからだった。
得点方法が複数あるからこそ
まずサッカーW杯では、勝利すれば「勝ち点3」、負ければ「0」、引き分けなら「1」が加算される。勝ち点で並んだ場合は得失点差、当該チーム同士の試合で勝った方...といった付帯条件が付き、決勝トーナメント進出チームが決定する。これは、サッカーのゴールは、どこから点を決めても「1点ずつ」しか加算されないため、極めてシンプルに順位が決まる...という構図だ。
しかしラグビーの場合は「トライ=5点」、「ゴールキック=2点」、「ペナルティーゴール(PG)、ドロップゴール(DG=ボールを地面に1度、落としてからのキック)=3点」と、得点方法が複数ある。これによって「勝ち点」の付け方も、サッカーとは異なる。以下、その計算方法を示したい。
☆ラグビーW杯の「勝ち点」の付け方(予選プール)
・勝ち=勝ち点4
・引き分け=勝ち点2
・負け=勝ち点0
・勝敗にかかわらず「4トライ以上挙げた場合」、「7点差以内の敗戦」には、それぞれボーナス=プラス1点
つまり試合に勝ち、かつ4トライ以上を挙げた場合は「勝ち点5」。逆に敗戦でも4トライ以上を挙げ、かつ7点差以内であれば「勝ち点2」が入る。引き分けでも4トライ以上ならば両チームに「勝ち点3」が加算される...という少々複雑な仕組みだ。
南アフリカは負けても「勝ち点2」
分かりやすいように、過去2度の日本代表の南ア戦(2015W杯、2019テストマッチ)で考えてみよう。なおテストマッチには「勝ち点」制度はないため、もし存在したらという仮定の話だ。
☆2015W杯=日本 34(3トライ)―32(4トライ) 南ア
日本は勝ったので「勝ち点4」。南アは敗れたものの4トライを奪い、なおかつ2点差での敗戦のため「勝ち点2」
☆2019テストマッチ=日本 7(1トライ)―41(6トライ)南ア
(もし勝ち点制度があれば)日本は敗れ、かつ4トライ以上でも7点差以内でもないため「勝ち点0」南アは勝利した上に6トライを奪ったために「勝ち点5」
ということになる。
話を2015大会に戻すと、日本は3勝1敗だったのにもかかわらず、「勝ち点」の差で決勝トーナメント進出を逃した...ということだ。
こういった方式になった背景には、トライなし、PGやDGのみで試合が決まってしまうというゲームもあるからだろう。ラグビーの醍醐味は、やはりトライだ。多くの観客も、そのダイナミズムを堪能するためにスタジアムへと足を運ぶ。仮に敗れたとしても、豪快かつスピーディーなトライが生まれれば、ファンも見に来た甲斐があるというものだ。
2015大会では「勝ち点」の差で涙をのんだ日本代表――。目標である「8強」以上へ、同じ轍(てつ)は踏めない。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)