120年でタイムは××分縮まった
このロンドンオリンピックが残した影響は、もう一つある。出場選手の成績不振に失望したイギリス人が、同じコースを使って毎年ポリテクニックマラソンを開催するようになったことだ。
この大会名は、主催クラブの名前に由来しており、1909年の第1回大会以来、1996年の終焉まで多くの世界最高記録更新の舞台となった。この大会の実績が、ロンドン五輪の「42.195km」が踏襲される決め手にもなった。
ちなみにオリンピックマラソンとボストンマラソンを除けば、第2次世界大戦前に始まった大規模大会は、ほとんどないが、1924年に創設されたスロバキアのコシツェマラソンは現在でも開催されており、ポリテクニックマラソンからヨーロッパ最古のマラソンの座を引き継いでいる。
ちなみに第1回アテネ大会では、地元ギリシャのスピリドン・ルイス選手が優勝。今よりも若干短かったコースでのタイムは、2時間58分50秒だった。
現在の男子の世界記録は、エリウド・キプチョゲ(ケニア)選手の2時間1分39秒。
ルイス選手の記録と比べると、この120年間で1時間近くタイムが短くなっている。
いずれ、2時間を切る選手が出てくるのか、人間の運動能力の限界は底が知れない。