千葉県内では、台風15号による停電や断水、通信障害が一部で続いており、特に医療が必要な人たちへの影響が懸念されている。
寝たきりの母親の受け入れを避難所に断られたとの訴えもネット上で出ており、熊谷俊人・千葉市長がツイッターで遺憾の意を示す事態にもなっている。
「仰る通りです」
スーパーには水や食料もない、熱中症にかかった高齢者が次々に運ばれた――台風が去ってから2日経った2019年9月11日も、ツイッター上では、千葉県民からとみられるこんな声が続々寄せられている。
県内の各市町村では、避難所も次々に開設されているが、受け入れを巡って混乱もみられるようだ。11日は、寝たきりの母親を持つ人からのあるツイートが大きな話題になった。
それは、医師から停電での対応はできないと言われ、千葉市に問い合わせて避難所に連絡すると、寝たきりの人は受け入れていないと断られたというものだ。ツイートした人は、熊谷市長にも窮状を訴え、これに対し、熊谷市長は、次のように反応した。
「仰る通りです。現場で高齢者施設に繋ぐ等の対応をするべきでした。整理します」
すると、ツイートした人は、市長の発言に期待する返信を送っていた。
千葉市の高齢福祉課は11日、ツイートのことは聞いているとしたうえで、J-CASTニュースの取材に次のように答えた。
「すべての指定避難所では、ニーズがあれば、福祉避難室を設けることになっています。しかし、医師や看護師はおりませんので、医療的な内容によっては対応できないこともあります」
「紹介できる施設について話すのが本来の対応」
市役所のどこに問い合わせがあったか分からないため、避難所などの間での具体的なやり取りについては把握できていないという。
市の防災対策課も、ツイート内容については初めて聞いたとして、取材にこう話した。
「事実であれば悲しいことで、申し訳ないと思います。ご紹介できる施設について話すのが本来の対応で、今後は適切に対応したいと考えています」
今回の台風被害では、医療が必要な人たちにとっては、深刻な影響が出かねない事態になっているようだ。
ある医療関係者は9月10日、県内の多くの病院で、生命の維持に必要な人工呼吸器や透析が使用できず、DMAT(災害派遣医療チーム)が患者の搬送支援に向かう状況になっているとツイッターで明かした。また。病院では、自家発電の電力を医療機器に回すため、エアコンも使えずに熱中症になる患者が出始めていると窮状を訴えた。
日本透析医会の公式サイト上の情報によると、停電で人工透析ができない医療機関は11日19時現在でも4施設あり、受け入れができる88施設で患者の対応をしている模様だ。
県の医療整備課は、次のように取材に説明した。
「各医療機関では、自家発電で対応したり、患者を他の施設に移したり、必要なケアをしていると聞いています。DMATは、車両を出すなどして、救急隊や自衛隊による患者の搬送に協力している状況です。エアコンについては、患者の体調が悪化しないように工夫して使っており、熱中症になった患者数は把握していませんが、医療機関がその場で対応していると考えています」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)