日本野球機構(NPB)は2019年9月9日、公益財団法人日本プロスポーツ協会(JPSA)からの脱退を発表した。NPBの井原敦事務局長は脱退の理由に関して、ガバナンスとコンプライアンスに問題が生じたことを挙げ、今月3日にJPSAに対して内容証明郵便で脱退する旨を通知したという。
公益財団法人であるJPSAは、1968年にプロスポーツ連絡会として発足。90年に財団法人として認可され、現在の名称に変更した。初代会長は通産大臣、農林大臣などを歴任した元衆議院議員の櫻内義雄氏。2代目には元参議院議員の柳川覚治氏が就任し、3代目は森喜朗元首相が務めた。現在は元衆議院議員の島村宜伸氏が4代目会長を務めており、歴代会長全員が元国会議員である。
歴代受賞者はスポーツ界のレジェンドばかり
JPSAが制定する「日本プロスポーツ大賞」は、プロスポーツ界において権威の高い賞として知られ、過去にはプロ野球の長嶋茂雄氏や王貞治氏、大相撲の横綱大鵬らが大賞を受賞している。大賞受賞者・団体には、内閣総理大臣杯が贈られることも同賞の権威を高める理由となっている。2018年度はMLBエンゼルスの大谷翔平(25)が受賞し、安倍晋三首相直々に賞杯を手渡された。
今回のNPBのJPSA脱退報道を受けて、ネット上では様々な反応が見られたが、なかでも多く見られたのは、日本プロスポーツ協会とは「どのような団体なのか」というものだ。J-CAST編集部は、同協会に取材し、活動内容などについて聞いた。
現在、JPSAには、日本相撲協会、日本プロサッカーリーグ、日本プロボクシング協会、日本プロゴルフ協会などNPBを除く13団体(競輪とオートレースは1団体とみなす)が加盟している。これらの加盟団体から毎月、会費が支払われ、これがJPSAの財源のひとつとなっている。
滞る年鑑の発行、来月にも4年分を一気に...
JPSAによると、主な活動は2つあり、そのひとつが「日本プロスポーツ大賞」表彰式の運営だ。年末の恒例行事となっており、在京の新聞社、テレビ局などの記者による投票が行われ、大賞が決定する。2つ目はプロスポーツ年鑑の編集及び発行だという。ただ、年鑑に関しては2013年版を最後に発行されておらず、早ければ10月にも14年から17年までの4年分の年鑑を発行する予定だという。
会長職には元国会議員が名を連ねるものの、JPSAの職員は現在、事務職の3人だけだという。二大事業である年鑑の発行が滞り、公式HPページの新着情報は今年に入ってから一度も更新されていない。昨年はわずかに2つのニュースが更新されただけで、権威ある賞を制定する協会のものとしては少し寂しい感じもする。
JPSA同様に公益財団法人である日本スポーツ協会(JSPO)は、アマチュアスポーツの発展に尽力し、多くのアマチュア団体が加盟しており、47都道府県の体育協会も加盟している。JSPOは文部科学省と実施都道府県との共催という形で国民体育大会を開催。また、シニア版の国体と称される日本スポーツマスターズ開催にも尽力し、日本のスポーツ界に大きく貢献してきた。
今回、NPBがJPSA脱退にあたり、2018年11月以降、評議員会が1度も開催されなかったことや、事業報告や決算報告を所管官庁の内閣府に提出していないことなどを指摘。これについてJ-CASTニュース編集部が取材したところ、JPSAは「現在、内容について精査中ですので、お答えすることは出来ません」と回答した。