長期収容は「送還促進で解決していくべき」 入管庁長官が見解示す

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   出入国在留管理庁(入管庁)の佐々木聖子長官が2019年9月9日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で会見を開いた。入管庁は入国管理局を前身とし、4月に発足した法務省の外局で、佐々木氏が初代長官だ。

   会見では「『多文化共生の社会』として日本が発展をしていく必要がある」と主張する一方で、たびたび問題視されている入管施設での長期収容については、「送還の促進で解決していくべき」、難民認定申請については「制度の乱用といった扱い方をされているケースもある」と主張していた。

  • 会見を開いた佐々木長官(2019年9月9日編集部撮影)
    会見を開いた佐々木長官(2019年9月9日編集部撮影)
  • 会見を開いた佐々木長官(2019年9月9日編集部撮影)

「『多文化共生の社会』として日本が発展をしていく必要がある」

   佐々木長官は、外国人労働者の受け入れ拡大を狙う改正出入国管理法(4月施行)で、新たに創設された在留資格「特定技能」をめぐる状況に触れた。

   外国人労働者に対する生活支援の委託を受けられる「登録支援機関」の登録件数は8月末現在で、1968件。在留資格認定証明書の交付件数は8月末現在で119件、既に日本に滞在している人で、特定技能への在留資格の変更が許可されたのは86件だという。

   佐々木長官は、「新しい在留資格の外国人の方々を含め、これから先、日本を訪れる外国人の方、そして日本で生活をしていかれる外国人の方は増えていく」と推測。「日本社会が外国人の方々にとって住みやすいところ、働きやすいところ、学びやすいところ、『多文化共生の社会』として日本が発展をしていく必要があると考えています」と主張した。

「長期収容の問題は、送還の促進で解決していくべき」

   入管施設での長期収容や、収容自体の妥当性を問われると、「退去強制が決定し、退去強制令書が発布されてからの収容が長期に及ぶのではないかというご意見を頂いている」とし、「退去強制手続き、すなわち、その時点で送還をするという法律上の目的のために、確実にその方々の身柄を確保しておく目的が1つあります」と狙いに言及する。

「この被収容者については、退去強制令書が執行される、つまり退去強制になるということで、すぐさま入管の施設から出るということになりますので、長期収容の問題というのは、送還の促進ということで解決していくべきものと考えます」

   収容施設における処遇に対しては、「入管としてまさに適切な処遇をするために、いろいろなものを充実しなければならないという認識がもちろんございます。特に医療の問題につきまして、いまの状況が十二分であるという認識をもっているわけではございませんので、さらなる充実を図っていかなければならないと思っています」としていた。

   また、収容所や収容場の処遇内容については、第三者機関の入国者収容所当視察委員会から意見などをもらっているとしつつ、「入管に関するすべての仕組みにつきまして十全だと考えているわけではございませんので、この点につきましても何ができるか考えていこうと思っております」と述べた。

「(難民認定)制度の乱用といいますか、そうした扱い方をされているケースもあります」

   収容施設における医療体制の改善策に関して、「健康上問題があって、私どもの職員が救急車を呼ぶことはございまして、搬送および診察を受けるものでございます。医療体制をどのように充実していくかということでございますが、医師の確保に難しさを感じている」と明かした。「常勤のお医者さんが確保できないということもございまして、医師の確保につきましては引き続き努力をして参りたい」と方針を示した。

   収容施設内で対応できない健康問題などに対しては、「外部の病院を訪問するようにアレンジをするわけですけど、訪問するような体制の強化、それから被収容者を受け入れていただける病院の開拓、受け入れていただくよう働きかけの努力をしていきたい」と話していた。

   会見では、難民認定申請に関する質問も上がった。日本での難民認定手続きでは、難民条約で定められた「難民」に申請者が当てはまるかどうかを入管が判断する。佐々木長官は「最近の申請の中には、『難民条約上の難民に当てはまりません、不認定です』と言われた後も、同じような内容で何度も何度も申請をされていらっしゃる、制度の乱用といいますか、そうした扱い方をされているケースもあります」と主張した。

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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