「韓国なんて要らない」特集で物議を醸し謝罪した週刊ポストは、翌週発売号でも韓国関連特集を取り上げた。
どのような点に焦点を当てた記事なのか。
前週号の発売直後に「お詫び」文をサイトに掲載
週刊ポスト(小学館)の最新号が2019年9月9日、発売された(一部地域を除く、9月20・27日合併特大号)。前週号の特集「韓国なんて要らない」が批判を集め、発売当日の2日夜には、編集部名義で「お詫び」文を「NEWSポストセブン」サイト上に掲載しており、次号以降の記事展開に注目が集まっていた。
最新号の表紙中央には、韓国特集の統一テーマのタイトル「真の『日韓善隣外交』を考える」とあり、さらに個別記事の見出しが3本並んでいる。
「両国の『友好』はどう築かれてきたのか―歴史と向き合う (編注:以下太字で)韓国の『反日』を膨らませた 日本の『親韓政治家』たち」
「国交正常化で動いた巨額のカネ/『日韓協力委員会』とは何か」
「韓国歴代大統領『対日外交術』の54年史 『親日』と『反日』を使い分けた為政者」
見出しには「反日」の文字が2回登場するが、いずれも日韓の政治家や為政者に関連付けている。記事は計8ページ。前週「韓国なんて要らない」特集の際は計10ページだった。
あらためて前週特集の(表紙の)見出しを確認すると、
「『嫌韓』ではなく『断韓』だ 厄介な隣人にサヨウナラ (編注:以下太字で)韓国なんて要らない」
「10人に1人は治療が必要(大韓神経精神医学会)―怒りを抑制できない『韓国人という病理』」
「暴走・文在寅は『竹島上陸』計画中!」
など(他にも3本の見出し)だった。特に「(略)韓国人という病理」記事については、週刊ポスト編集部が2日に発表したお詫び文で、「なかでも」と具体的にこの記事に触れ、「誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました」と言及していた。
「メディアとして果たすべき責任とともに検証する」
ポストの今週記事では、「54年前」の1965年に日韓基本条約が締結されて以降の日韓の外交史を、締結直前の交渉経緯を含めて検証している。総合前文の末尾では、
「日韓の国交が始まってから54年。その年月を振り返ったうえで、両国の政治家が果たすべき役割とは何か。メディアとして果たすべき責任とともに検証する」
とうたっている。
記事本文では、戦後の日韓の国交樹立に、安倍晋三・現首相の祖父、岸信介・元首相らが深く関わっていた点にも触れながら、日韓基本条約に伴う日韓請求権(並びに経済協力)協定の締結後の日本からの経済協力をめぐり、「日韓の政界と財界は、国境をまたいだ『利益共同体』として結び付きを強めていく」様子などを検証している。
記事は2部構成になっており、「PART2」(韓国歴代大統領『対日外交術』の54年史)の末尾では、
「韓国では指導者が、『反日』と『親日』の振れ幅を操りながら、経済的利益を求め、一方では、国内世論を誘導しながら権力を維持してきた」
「そんな状態が続いた末に、今の日韓関係がある。真の友好善隣関係を築くために、両国の指導者が、そしてメディアが何をしてきたのか。それをまず、見つめ直していく必要がある」
と結んでいる。そして、記事のあとに「1段半」の大きさの囲み記事で、前週の「韓国なんて要らない!」特集に関して、先にサイトで発表したお詫び文と同じ文面を掲載した。
総合前文などで、両国の政治家だけでなく、「メディア」の責任や、「(メディアが)何をしてきたのか」の見つめ直しの必要性に触れているが、今週分の記事を読む範囲では、メディアに焦点を当てた記述としては、たとえば特集第1部の記事中にある「『謝罪外交』の時代」(中見出し)の部分で、
「大きな火種となったのが朝日新聞の報道(編注:別途メモありのマーク)を発端とする慰安婦問題だ」
との指摘部分が見つかる。ただ、話はまた政治家対応へ移っていく。また、関連のメモ部分は横書き3行の短いものだ。この他では、当時の政治家の発言内容を伝える際に新聞記事からの引用であることを示す部分は何か所かある。
ツイッターに「言い訳っぽくて」指摘も
今回の韓国特集に対するツイッター反応をみると、9日夕現在でJ-CASTニュース編集部が確認できた範囲では、前回のような大きな反発は目立たず、中には「『真の日韓善隣外交』を考える、が言い訳っぽくて」と、見出しに対して皮肉を込めたコメントをする人もいた。
週刊ポストは次号(9月20日発売、一部地域を除く)でも韓国特集を載せるのか、その際はどのような内容になるのか。しばらくはポスト誌の報道ぶりに注目が集まりそうだ。