ゴーン前会長は「不記載」が問題に
日産混乱のキッカケは、昨年のゴーン前会長の役員報酬の有価証券報告書の虚偽記載事件だ。50億円ともされる役員報酬のうちの約40億円分が株価連動報酬を受け取る権利として付与されながら、記載していなかった。
役員報酬は株主総会で役員全員分の総額を決議して、その配分は取締役会に委任するのが一般的。2018年11月21日付の日本経済新聞によると、「日産は2008年の総会で、総額で29億9000万円以内と決議した。この決議には期限の定めがない。配分について日産は有価証券報告書の中で、企業報酬コンサルタントによる多国籍企業の役員報酬の調査を基に決めていると説明している」としていた。
さらにSARについては、「毎年600万株相当分を上限として、株価が設定価格を上回っていれば、その差額を受け取れるとの算定方法を示した。詳細については取締役会に一任する」としている。
業績連動や株価に連動する役員報酬は、「自社株を大量に保有する経営者であれば、中長期的に企業価値が下がるような施策は取りにくい」ことが、前提になっている。
その一方で、「取締役の誰にいくら付与するかといった配分に定めがない」ため、経営者が自らその報酬を決められる危うさがある。日経はそのことが「ゴーン氏が実質的に差配できるようになっていた」と指摘していた。
西川社長は「余分に受け取った金額を返還する」としているが、そうであれば、「まったく知らなかった」では通用しないのではないか。9日の取締役会後、西川社長がどのような説明をするのか、注目したい。