迷走する日産「株価連動報酬」の正体 「不正の温床」との指摘もあるが...

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   日産自動車が迷走している。カルロス・ゴーン前会長の役員報酬の過少記載事件をキッカケに、仏ルノーとの経営統合、急激な業績悪化に加え、今度は西川(さいかわ)広人社長らが株価連動報酬(SAR)を不正に受け取っていたとされる疑惑が持ち上がった。

   2019年9月5日の報道によると、西川社長は受け取っていた報酬がかさ上げされていたことを認めたうえで、意図的な不正を否定。SARを廃止する方向という。「不正の温床」のようにいわれる「SAR」とは、いったい何なのか――。

  • キッカケは、この人だったけど…(カルロス・ゴーン前会長、2014年撮影)
    キッカケは、この人だったけど…(カルロス・ゴーン前会長、2014年撮影)
  • キッカケは、この人だったけど…(カルロス・ゴーン前会長、2014年撮影)

株価連動報酬、政府が導入に旗振り

   株価連動報酬(インセンティブ報酬)を導入している日本の上場企業は、ここ数年増えてはいるものの、国際的には少なく、政府も「後押し」する。

   たとえば、売上高1兆円以上の企業のCEOの報酬は、米国では基本報酬(固定)が10%で、19%が年次インセンティブ、71%が中長期インセンティブだが、日本の場合は48%を基本報酬で賄い、31%が年次インセンティブ、中長期インセンティブは21%に過ぎない(「『攻めの経営』を促す役員報酬~企業の持続的成長のインセンティブプランの導入の手引き~」2019年3月時点版 経済産業省)。

   日産が導入しているSAR、「ストック・アプリシエーション・ライト」は業績連動報酬の一種で、賞与のような年次インセンティブと違い、複数年度の評価に基づく中長期インセンティブにあたる。

   一定の期間を定めて、株価があらかじめ決めた価格を上回った場合に、その後売却したとした場合の差額部分(売却益相当額)を報酬としてもらえる仕組み。株式そのものや株式を購入できる権利(ストックオプション)を与える仕組みと違って、現金で受け取れるのが特徴だ。

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