大阪メトロは2019年8月29日、御堂筋線心斎橋駅など5駅のリニューアルデザインの修正プランを発表した。18年12月に発表した駅リニューアルデザインが大きな批判を浴び、再検討を行った結果の案である。
デザインの「炎上」を招き、修正にまで至ったのはなぜか。とりわけ、御堂筋線と同時代に建設された東京の地下鉄のケースと比較すると、沿線文化の生かし方の相違が浮き彫りになった。
心斎橋は「テキスタイル」から大幅修正
18年12月に御堂筋線と中央線の15駅のリニューアルデザインが発表されると、そのデザインが物議を醸した。
とりわけ批判を浴びたのが、御堂筋線心斎橋駅のデザインである。駅周辺が百貨店などのファッション産業が盛んなため「テキスタイル」をコンセプトにしたが、ドーム型の天井には緑色系の目立つ装飾模様が施され、「悪趣味」「派手すぎる」という批判が噴出。撤回を求める署名も集められて大阪メトロに提出された。
この区間(梅田~心斎橋)は1933年に大阪初の地下鉄として開業した区間で、現存する戦前の大阪の都市建築として歴史的価値を認められていた。御堂筋線の歴史をあまりに軽視したデザインではないか、という批判が、当初のものに対しては少なくなかった。
再検討後のデザインはデザイナーの奥山清行氏を起用し、各駅とも落ち着いた色調になった。心斎橋駅は「ジ・オオサカ・ブランド」をコンセプトとし、原色ベースの派手な装飾から茶色ベースのものに変わり、アーチ天井のシャンデリア型照明も残すことが決まった。18年12月に発表された淀屋橋駅のデザインに近づいた印象だ。