柏崎原発「一部廃炉」の曖昧さ 東電は再稼働を本当に「諦めた」のか

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市長の体面に東電が配慮?

   そもそもこの文書は、2017年6月、桜井市長が6、7号機の再稼働を認める条件として、1~5号機の廃炉計画を2年以内に示すよう東電に要請していたことへの回答だ。上記のような曖昧さを残しながらも、桜井市長は一部新聞報道によると「できる限りの案を出していただいたことは評価する」と小早川社長に応じ、9月4日の会見では「合格点ではない」としつつ、受け入れる意向を示した。

   この文書とやり取りを深読みするなら――東電は福島第1原発事故の賠償金を支払い続けながら、福島第1、第2原発の廃炉費用を捻出する必要がある。それには残された柏崎刈羽原発の再稼働が不可欠だ。2年前に6、7号機の再稼働について地元の言質を得た東電は、1~5号機の再稼働の可能性をできるだけ残しながらも廃炉に言及して、桜井市長の体面に配慮した。一方、条件付きの再稼働容認を掲げて2016年に初当選した桜井市長は、東電から「廃炉」を引き出して自身の公約を守った――そんな見方も不可能ではない。「廃炉も想定したステップ」に進む時期を「再稼働した5年以内」としたこともミソで、再稼働の5年後には小早川社長も桜井市長もそのまま在職している保証はない。

   こうした電力会社と地元の「出来レース」は、柏崎刈羽原発に限らず、これまでも程度の違いこそあれ各地で繰り広げられてきた。今回は――。

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