青春18きっぷ、その歩みと「消費税」 89年の「1万1300円」からとうとう大台へ...

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   2019年8月、JRグループは10月1日の消費税率引き上げに伴い「青春18きっぷ」をはじめとする特別企画乗車券の価格改定を発表した。

   個人的には、「青春18きっぷ」が消費税率引き上げによる価格改定のシンボル的存在になっていることが面白いと感じる。消費税と「青春18きっぷ」の関係を振り返ってみたい。

  • この30年で「青春18きっぷ」に乗車できる車両は大きく変わった。JR西日本「新快速」225系。
    この30年で「青春18きっぷ」に乗車できる車両は大きく変わった。JR西日本「新快速」225系。
  • 一方、30年間であまり変わらない風景もある。JR東日本根府川駅
    一方、30年間であまり変わらない風景もある。JR東日本根府川駅
  • この30年で「青春18きっぷ」に乗車できる車両は大きく変わった。JR西日本「新快速」225系。
  • 一方、30年間であまり変わらない風景もある。JR東日本根府川駅

1万2000円台になる「青春18きっぷ」

   「青春18きっぷ」は日本全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席、JR西日本宮島フェリー、JR東日本が運営するBRT(バス高速輸送システム)に乗車できる特別企画乗車券だ。5回(5日)分となっており、1人で5回や5人で1回といった利用ができる。1982年(昭和57年)に「青春18のびのびきっぷ」として発売されて以降、多くの旅人に親しまれてきた。

   10月1日からの消費税率8%から10%への引き上げにより、2019年冬季の販売から「青春18きっぷ」の価格が従来の1万1850円(大人・子ども同額)から200円アップの1万2050円になる。また「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」は2490円(大人・子ども同額)に改定される。なお2019年冬季の「青春18きっぷ」の発売期間は2019年12月1日~12月31日。利用期間は2019年12月10日~2020年1月10日だ。

導入前後から変わる割引切符・特別企画乗車券の事情

   消費税が導入されたのは1989年(平成元年)。自宅にあるその2年前、1987年(昭和62年)と現行の時刻表を見比べてみた。1987年の時刻表では特定区域のJR線などが乗り放題となる「周遊券」に多くのページを割いていることがわかる。一方、現行の時刻表には「周遊券」の記載はなく、往復割引切符が目立つ。

   割引切符や特別企画乗車券のうち、1987年から回数券の類を除き名称変更なく続いているのは「Sきっぷ」「フルムーン夫婦グリーンパス」「レール&レンタカーきっぷ」そして「青春18きっぷ」くらいだろうか。このうち「Sきっぷ」が利用できる線区は減少し、「フルムーン夫婦グリーンパス」には年齢制限がある。そのため、30年以上にわたって全国的、全世代に親しまれている「青春18きっぷ」は誠に貴重な存在だ。

   消費税が導入された1989年夏の「青春18きっぷ」の価格は1万1300円だった。1997年(平成9年)の5%へのアップの際に1万1500円に改定される。2007年春の記念価格を除くと、約17年間にわたって1万1500円の時代が続いた。2014年(平成26年)の8%へのアップで現行の1万1850円に。そして今回の10%へのアップで1万2000円の大台に乗る。

   750円上がった30年の間に日本の鉄道も社会も大きく変化した。次の30年間に再び消費税率値上げによる価格改定はあるのだろうか。30年後の「青春18きっぷ」の旅はどうなっているのだろうか。そもそも「青春18きっぷ」は生き残っているのだろうか。そのように考えると実に興味深い。

(フリーライター 新田浩之)

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