日本独自のプラットフォームの必要性は?
「ダメージーコントロールの一環かなと思います。問題が起きたから必死でダメージを最小限に抑えるという。10年も日本の漫画家さんの作品やビズメディア(小学館の子会社。漫画の翻訳出版を手掛ける)のような公式版を盗んでお金儲けをしていた組織なので、信用性はゼロです」
前述の高橋氏は取材に対し、Manga Rockの運営会社への不快感をあらわにする。
日本の成人向け漫画の英訳版を配信する「FAKKU(ファック)」やアニメ配信サービス「クランチロール」のように、ライセンス契約を結んで"合法化"した海外サイトはあるが、「いずれも需要はあるものの同様のサービスがなかったために、将来は合法化を目指して開設されました。運営費は寄付金や私財などでした。ですが、Manga Rockは最初からお金儲けが狙いで、バックアッププランとして合法化を持ち出したとみられます」(高橋氏)
MR COMICSが支持を集めるには、人気タイトルを多数揃える日本の大手出版社との契約は不可欠だ。だが、高橋氏は「保守的な業界ですし、10年も違法を働いてきた企業と組んだら漫画家さんや読者の反発は強いと思います」と、契約の可能性は低いと見る。その上で、「ベトナムの企業と組まなくても日本企業でやればいい」とも提言する。
日本の出版各社は2011年に、漫画の英訳版を海外向けに配信するサイト「JManga」を共同で開設した。しかし、キラーコンテンツが無いなど課題が多く、1年半弱で撤退した。
「出版社がお互い協力するという気持ちがなかったんです。なんでうちの作品が客寄せとなってほかの出版社が儲かるのかと。加えて、ポイントを購入して漫画を買う形式でしたが、海外ではサブスクプションの方が親和性は高いです。仮にJMangaのバージョン2をやるとしたら、出版社の全てのタイトルを載せて漫画版ネットフリックスを目指すべきです」(高橋氏)
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)