眉ひそめ「危機」嘆くも「処方箋」はなし G7論じた新聞社説を読む

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元々はベトナム戦争後の国際情勢に対応するため

   サミットは1975年にパリ郊外のランブイエ城で、時のジスカールデスタン仏大統領の提唱で初めて開催された。ドルショックと石油ショックで国際経済が危機に陥り、ベトナム戦争敗北で米国の覇権が揺らぐ中、冷戦における「西側」の結束を示すとともに、米国だけでは支えきれなくなった国際経済を多国間の協調で安定させるのが大きな目的だった。

   首脳だけが膝詰めで論じ合うのが当初のスタイルだったが、経済中心の議論は政治、安全保障、さらに地球環境などに広がっていく共に、総花的になっていった。これに歩調を合わせ、事前の事務当局による積み上げ方式に変質し、各国は大規模な随行団を送り込み、首脳はもっぱら用意されたペーパーを読み上げ、官僚は夜を徹して成果文書の文案調整に励み、数十ページの文書をまとめ上げるのが慣例化した。

   今回、1枚の簡潔な文書になったことは、形として原点回帰にも見えるが、実態はそんな前向きのものではなく、対立を覆い隠すのが精いっぱいだった。

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