この連載の前回に続いて、米中西部ウィスコンシン州の農家の家で生まれ育ち、同州の州立大学でジャーナリズムと政治学を学ぶナッシュ(22)に、「トランプのアメリカ」について彼の考えを聞いた。彼は首都ワシントンで半年間、民主党寄りの3大テレビネットワークのNBCでインターンの経験がある。
彼が生まれ育ったバッファロー郡では、2016年の大統領選でほぼ6割がトランプ氏を支持した。
大統領を支持する人は人種差別主義者か
「地方の人たちにとって、エスタブリッシュメント(社会的に強い権力を持つ既成の支配階級)のイメージが強い。ヒラリーからは、ワクワクするものが感じられなかった。彼女は断固としたスタンスも取らなかった。何でもいい、とにかく変化がほしい、と多くの人が感じた」とナッシュは言う。
民主党支持者らがトランプ氏を非難する時、「racist(レイシスト=人種差別主義者)」という言葉が真っ先にあがってくる。
「彼がレイシストかどうかと聞かれれば、僕はそうだと思う。でも、極端なレイシストかどうか、それはわからない。主観の問題だ」
レイシストをなぜ支持できるのか。支持する人もレイシストではないか――。反トランプ派がよく口にする言い分に、ナッシュはどう答えるのか。
「人々が投票する理由はさまざまだ。人種より妊娠中絶や銃規制などの問題の方が、自分にとって大事だという人もいる。トランプを支持するからレイシストだと結論づけるのは、短絡的だ。でも、トランプの発言は的を得ていると思うこともある。大統領としてもっとふさわしい言い方があるだろう、と首を傾げることは多いけれど」