2019年8月20日、eスポーツ界に激震が走った。
2017年5月より運営が開始され、日本国内でも有力と見られていたeスポーツメディア「SHIBUYA GAME」が突如として9月20日をもっての更新停止および、年内でのサイト閉鎖を発表したのだ。
多くのeスポーツメディア立ち上がるが...
「SHIBUYA GAME」はeスポーツの現場にフォーカスしたインタビューやイベントの取材記事を1700本以上公開しているが、これらの記事もサイトの閉鎖に伴い全てネットの海から消滅し、二度と見ることはかなわないものとみられる。
近年のeスポーツの興隆により多くのeスポーツメディアが立ち上がったが、その中には既に更新停止の状態にあるものや消滅したものも数多い。
雨後の筍のように現れては消えて行ったeスポーツメディアと「SHIBUYA GAME」が異なる点、それは運営母体がeスポーツシーンにおいて強い存在感を持つ、株式会社ビットキャッシュだということだ。
ビットキャッシュの代表取締役社長の伊草雅幸氏はeスポーツの施設運営や大会の企画運営を行なうeスポーツコネクトという会社でも同じく代表を務めている。eスポーツコネクトは有力なプロゲーミングチーム『CYCLOPS athlete gaming』の運営も行なっており、関連会社同士でeスポーツの実業と普及が可能な状態となっていた。
「SHIBUYA GAME」のライター陣にも『CYCLOPS athlete gaming』所属のプロゲーマーやストリーマーたちが名を連ねており、これもeスポーツメディアとしての信用度を大きく高めていた。
読者層には「動画」強く...テキストは読まれにくい?
プロゲーミングチーム運営にあたってもメリットがある「SHIBUYA GAME」の閉鎖を決めた理由は定かではないが、eスポーツは未だ投資フェーズの段階にあることも確かであり、何かが立ち上がっては消える状況は、未だしばらく続くと思われる。
またeスポーツというジャンルの特徴として、テキストはあまり読まれないというものがある。これはeスポーツシーンの中心となっている世代が10~20代であり、テキストよりも動画を好む傾向が強いことが影響している可能性が高い。
この傾向は今後より顕著になることが予想されるため、テキストメディアにとっては模索が続くこととなるだろう。
話題を眼前の話に戻せば、「SHIBUYA GAME」には選手関連の記事だけではなく、eスポーツ界を支えるスタッフや経営者へのインタビューなどここにしかない記事も多く、消滅はeスポーツ界の損失であるという声も挙がっている。願わくば、これらの記事がどこかにアーカイブされることを祈るのみである。
(eスポーツライター 早川清一朗)