セ・リーグの優勝争いが終盤を迎えている。5年ぶりのV奪回に燃える原巨人は、2019年9月3日時点で2位DeNAに3.5ゲーム差を付けて首位を走っている。優勝マジックこそ消滅したが、20試合を残して3位・広島とは6.5ゲーム差を付けている。
チームがリーグ優勝へラストスパートに入る一方で、ベテラン、外国人助っ人らが残留へ向けて熱い戦いを繰り広げている。
中島、岩隈は来季、選手兼コーチの可能性も
昨オフに広島からフリーエージェント(FA)で獲得した丸佳浩外野手(30)や炭谷銀仁朗捕手(32)ら新戦力が加入したことでチームの底上げに成功した原巨人。野手では若林晃弘内野手(26)、山本泰寛内野手(25)ら若手が台頭し、ベテラン亀井善行外野手(37)が抜群の安定感を見せている。投手陣では菅野智之投手(29)、山口俊投手(32)の2枚看板が勝ち星を稼ぎ、チームをけん引している。
シーズン終盤にきて存在感を見せているのが大竹寛投手(36)だ。昨シーズンはわずか2試合の登板で終わったが、今シーズンはここまで24試合に登板して3勝をマークしている。緊迫した場面でのマウンドが続くなか、ベテランらしい老獪さと気迫の投球で勝利の方程式の一角を担っている。今シーズン結果を残せなければ、今オフの戦力外の可能性が濃厚と見られていただけに残留へ向けて猛アピールが続いている。
昨オフの移籍組でここまで結果が出ていないのが、中島宏之内野手(37)と岩隈久志投手(38)だ。両選手とも原辰徳監督(61)の肝いりで移籍してきた大物。現在ファームで調整中の中島は1軍での打率は.148で、岩隈に至っては1軍での登板はない。成績だけを見れば今オフの戦力外が濃厚だが、関係者によると残留の可能性は十分あるという。原監督はこの2人に指導者としての一面も期待しており、将来の入閣を見据えて選手兼コーチとして残留するとの見方もある。
世代交代ために支配下枠の確保が必要
大竹を筆頭に近年、FAで巨人に移籍してきた選手は7人おり、そのうち5人がまだ契約年数を残している。今シーズンで契約が切れる単年契約は大竹と森福允彦投手(33)の2人だけ。森福は6月21日のソフトバンク戦以降、1軍でのマウンドがなく、今シーズンの登板はわずか7試合にとどまっている。ポストシーズンで最後のアピールの場を得ることが出来るかもしれないが、現状では非常に厳しい立場にいる。
チームの「世代交代」を図るために支配下枠の確保が必要となってくるが、ベテラン勢の残留の可能性が高く、そう簡単にはいきそうにない。枠を空けるための選択肢のひとつとして外国人助っ人を放出する可能性も。現在、野手でベンチ入りしているのはアレックス・ゲレーロ外野手(32)のみで、クリスチャン・ビヤヌエバ内野手(28)は体調不良により2軍の試合にも出場していない。
投手陣に目を向けると、C.C.メルセデス(25)、ルビー・デラロサ(30)、スコット・マシソン(35)が一定の結果を残しているものの、テイラー・ヤングマン(29)、ライアン・クック(32)はここまで結果を残せずにいる。9月4日にメルセデスに代わって1軍に昇格したクックは、9日のヤクルト戦の先発候補に挙がっており、残留へ向けてラストチャンスになるかもしれない。
ベテラン勢が残留ならば、そのシワ寄せとして今オフ、外国人助っ人勢が一掃される可能性も。チームは週明けの9月10日から2位DeNAと直接対決を控え、5年ぶりのV奪回へ最終局面を迎えるが、来季の残留をかけたもうひとつの戦いもヒートアップしている。